∴とある少女の最後の独白
※ちょっとグロ(?)注意
ねぇ先輩。
私、双子の兄がいるんですよ。
私とは全く、似ても似つかない完璧で真っ黒な兄です。
容姿も頭脳も運動も才能も、全てにおいて完璧な兄なんです。
私が好きなテニスも得意な数学も、兄の前では無いに等しいんですよ。霞むんです。
そんな兄と私、言うまでもなく比べものにはなりません。
兄はぶっちぎりに突き抜けている存在でしたから、常に注目されていましたよ。
まぁ当たり前ですよね。
なのに、家でも学校でも必ず私には兄がついて来るんです。
兄が、私の存在を示すものなんです。
全然違うものなのだから切り離してしまえばいいのに。
何処へ行っても兄、兄、兄。
居場所なんてものも最初からありませんでした。
親からも、教師からも、生徒たちからも無下にされて卑下されてきましたから。
ええ、もちろん慣れましたよ。
何しろ産まれたときから失望の目しか向けられてきていませんからね。
それに、兄とは差異がありすぎることは、自分が一番よく知っていますから。
なのに、兄は私に構ってくるんですよ。
隠しきれていると思っているんでしょうか。
目は完璧に私を嘲笑っているというのに。
ああ、みんな私の敵でした。
四面楚歌。
孤立無援。
もう、うんざりだったんです。
だから、私は逃げてきました。
メアドも携帯番号も、名字も住所も戸籍も変えて、私は逃げてきたんですよ。
所詮私は逃亡者で逃避してきた臆病者の敗者です。
だから今さらそんなことを言われても、私は知っていますよ。
ねぇ先輩。
私が一番よく私のことを知っていますから、こんな私なんかの為に人生を浪費して、時間を無駄にしないでくださいね。
それが私の、サイゴの願いですから。
それではサヨナラ。
また会いましょう。
―――ぐしゃ。
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誰かの妹です。特に決めてはいません。
あるとすれば、不二か幸村かリョーマなどですかね。
最後の独白。
私の中のシチュエーションとしては、嵌められて皆に嫌われて、屋上から飛び降りる直前の言葉です。
まぁ、あくまでも私の中のものなので、皆さんのご自由にどうぞ。
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