雨と鋏 (2/2)
「止めに来たならムダだぜ。お前なら俺の気持ちがわかるはずだ」
「え?」
「ダメツナって呼ばれてるお前なら、何やってもうまくいかなくて死んじまったほうがマシだって気持ちわかるだろ?」
「えっ、あの…っ。いや…山本とオレは違うから―――」
その後の綱吉の説得により、山本の自殺は未遂に終わった。
もともとそれほど山本も大して本気では無かったのだろう。地べたに座って綱吉と笑いあう山本の顔は明るかった。
そしてこの話は無事に終わった。…のだが、
「最悪だなぁ……」
いつからか綱吉に張り付きコソコソしている暗殺者、確か名前はリボーンだったか。アイツは今回のことをいいように利用していた。どうやら山本をボンゴレファミリーに入れたらしい。
裏の者が一般人を引き込むなんて言語道断だ。ましてやそれに友情を使うなんて。
「まぁ裏って言っても、表の、だけどね」
澄織は静かにクスリと笑った。
思い上がりも甚だしい。
お前のそれは欺瞞だ。
虚偽だ。
妄想だ。
だからと言って今の澄織はこれといって何らかのアクションを起こすつもりは全く無いが。
「これからの展開を、私は楽しく見させてもらうよ」
せめて自分は一歩引いて傍観させて頂こう。
退屈で平凡だと思っていた少年の変わり行く姿を三年間だけでも観察しようではないか。
「――あ、もしもし舞姉?今日学校でね―――」
それは誰も予期しなかった予想外の観察者だった。
七話終わり
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