十人十色 (3/3)

そういえば、何故身体中に木葉を貼り付けるのだろうか。普通に隠れればいいのでは?と澄織は内心首を傾げた。
もちろん、自称最強の殺し屋と言う彼が、コスプレ好きだなんて知るよしもない。

「(人の好みはそれぞれだよね。…十人十色?)」

違う。
澄織はどうやらリボーンの格好を普段着だと勘違いしていた。それを訂正する者などいないので、自身で自己完結させて授業に戻る。
数式ではなく、殺害方法を頭の中で組み立てていたが。

数分後、完璧に忍んでいると勘違いをしている殺し屋は、澄織に気づかれているなんて露ほどにも思わずに、その場から立ち去った。有り得ないことなど無い。その言葉を果たして彼は知っているのだろうか。
ちなみに表の裏に気づかれるほど、澄織は油断をしていないし、へまはしないのでそんな殺し屋未満には一般人としか見られていないのだった。




昼休み。
澄織は一人で弁当を食べていた。
友人である花は、あの笹川京子とも仲がいい。彼女は学校でアイドルと謳われており、一緒にいたら目立つことは避けられないので、こうして昼食を取っているのだ。

「(一人とか楽しすぎるぜ…!)」

某不憫なキャラの口癖が頭の中で流れた。
別に寂しいとは思わないのでネタなのだが、どうもあの台詞は頭に残りやすい。自虐ネタは、端から見たら可哀相なだけである。だからこそ面白い。
余談として、その知識は主に兄から頂いたものだった。

不意に風が吹いて、木葉が弁当に一枚乗った。
澄織は眉をひそめてそれを取る。
それと共にそういえば、と先程の赤ん坊のことを思い出した。

「確か、まだ全然考えてなかったなぁ…」

物騒だが殺害方法の話である。
基本は心臓か頭に攻撃をして一撃で殺すため、面倒な方法など考えもみなかった。故に澄織は『殉粋無苦』。苦痛など与えずにすっぱり殺すのだ。そうでなくても、殺人鬼はあっさり殺す者ばかりなのだが。


「私はバスケにしたよ。あんた、まだ決めてなかったの?」
「おかえりー。あー、わたしもバスケにしようかなぁ…」

澄織の独り言を、球技大会のことだと勘違いしたのか、昼食を終えた花が話し掛けてきた。それを驚くことなく自然に笑顔を乗せて返す。

球技大会まであと一週間、これが家庭教師と殺人鬼の始まりだった。




五話終わり


……………………
時間軸は軽く捏造してます。
物語も軽く捏造。
次は獄寺かな?
ちなみにツナは…、無視?
裏なら慣れてるかなーということで。
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