自由奔放な (2/3)

「……わかりました。
いつまでに仕上げればいいんですか?」

渋々と澄織は承諾した。
ついでに、と言わんばかりに、何故か雲雀のクッキーにまで手を伸ばしている。
それを、雲雀はあえて無視をした。
ここ数分で分かったが、澄織はかなりマイペースな性格をしているらしい。

「三日以内でいいよ。それ以上だとまた面倒な事になるから守ってよね」
「りょーかい、です」

返事も真面目なものではなかった。
でも何となく、澄織ならやってくるような気が雲雀はしたのだ。
実際に、基本自由奔放な性格をしている零崎一賊の中で、比較的まともな澄織は、約束を守ることに対しては忠実なので、彼の考えは割と当たっていた。

いつの間にか雲雀のクッキーまで食べ終えた澄織は、身体をほぐすために伸びをしながら席を立った。 用件が終わったので、これ以上ここに居る必要はないと思ったのだろう。 てくてくと迷いない足取りで雲雀から離れていく。

「それでは、わたしはここで失礼します」

最後にドアの前でくるりと回り、一礼をすると、澄織は応接室を出ていった。


パタンと音を立てて閉じられた空間で、雲雀が澄織と戦うことを忘れていたのを思い出すまで、あと数十分―――。

*


「うーん。
最近、零崎してないなぁ…」

家に帰る道のりを歩いているとき、ぽつりと澄織は呟いた。

零崎にとって殺人は呼吸。
スタンダードな零崎である澄織は、勿論、曲識のように制限を掛けているわけではない。

呼吸は、ずっと止めていたら、苦しい。

ここ一週間はなんやかんやと忙しくて、零崎をする暇が無かったのだ。そろそろ適当に誰かを殺していないと、冗談抜きで学級一つを潰してしてしまうかもしれなかった。
本当に、洒落にならないことだが。

丁度その時、路上で不良たちが一人の男子を囲んでいる光景が見えた。どうやらカツアゲをしているようである。
とても、良いタイミングだ。
少なくとも、これで彼らの未来は確定したも当然だった。

「この歳で将来が決まっているなんて、すごいよねー」

澄織は独り口元を歪ませて笑い、路上へと姿を消した。
時刻は夕方頃。

澄みわたる空は、血のように真っ赤に染まっていた。






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