Evasion/04


とある日のことだ。
エレンが昼間の散歩を終えてホテルの自室に戻ると、クレプスリーから命令を受けた。

「おい、シルク・ド・フリークに行くぞ」
「…………えっ?」

硬直すること数秒。やっと出せた声も、クレプスリーは軽く流してしまった。

「なんでも人手が足らんらしくてな。強制ではないが、ずっとホテルに泊まるくらいならば、あちらのほうがましだ。お前も野宿をしなくてよいのならば、文句はないだろう?」
「……うん、そうだけど」
「ならば荷物をさっさとまとめておけ。すぐに出発するぞ」

クレプスリーがトランクに荷物を詰めている姿をしばらく呆然と眺め、エレンは一言呟く。

「回避……できなかった……」


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