Profession/06


「なあ、オレは結構、お前のことが気に入ってるんだぜ」
「えっ」

都合が良すぎるほどに空いた真正面の二人席に座ったとき、スティーブは唐突にそのようなことを言い出した。

「まぁ、見た目どうこうは抜きに、エレンは意外と面白い奴だし」
「面白くなった覚えはないけど」
「そうそう、そういうリアクションが好きだ」

その言葉を聞いたエレンが引き気味な表情を全面に出すと、スティーブはけらけらと愉快げに笑った。

「それに、今日のこれもまさか本当に来るとは思ってなかったし」
「……あっ、そう」
「いまんとこ、お前の株はうなぎ登りだな」
「私の株はただ下がりだよ」

くだらない会話を交わしていたら、開幕を知らせるトランペットが一斉に鳴り響き、会場は水を打ったように静かになった。
エレンが横に座るスティーブをちらりと見ると――彼の目は、まるで獲物を仕留めるパンサーのようにギラギラと光っていた。


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