Galgenhumor | ナノ

あなたに捧げる夢と


ここはたぶん、夢の中だ。

視界には桜が舞っている。
あたり一面はどこを向いても霧がかかったように白く、桜の淡い桃色がきわだって見える。

そのなかで、目の前に前世の私が立っていた。

舞い散る桜の世界なんて、なかなかに粋なものを私は持っていたらしい。
そんなくだらないことに、なぜだか笑いたくなるくらいに今の私は悲しかった。

桜の雨がはらはらと、白い着物を着た私に降りそそぐ。
私は、私から一歩後ろへと下がった。

黒い着物を着たかつての私は、なにも言わずにそれを見ていた。
きっと、私だからだろう。

しばらくして、過去の自分が問いかける。

「あなたの、その答えは正しいの?」

私は微笑みながら応えた。

「私は、あの人たちに恩返しをするの」

――そして暗転。
なんとも短い夢だなと、布団の中で朝日を顔に受けながら、私はかすかに目を細めた。




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