∴ 某戯言遣い家にて
「――…というかよ、崩子ちゃん。前々から思っていたけど、そのナイフ、たいして尖っちゃいねーよな。センスもまぁまぁだし」
「なっ…!? わたしの可愛い子供にそんな台詞、許しませんよ!」
「ゆらぁ…り…。でも…そうです、よねぇ……?これじゃあ…、ずたずたに…できませんよ?」
「でっ…!でも!男の子が一番最初に憧れるナイフですよ!?貴方たちはこれを見て、何もときめかないのですか?
……あぁ、それとも武器に頼らなきゃろくに人を殺ることもできないんですか…。だっさいですねぇ?」
「はぁ!? 俺のことを舐めるなよ崩子ちゃん!京都通り魔殺人犯である俺が武器なんか選ぶかよっ!
そのナイフ貸せ!外出て、ちょっくら一般人を解体してきてやんよ!」
ガチャッ
「………へぇ、人の家に勝手に入っておきながら、さらに殺人予告までするんだね……。人間失格」
「「「…!!?」」」
「け、欠陥製品…!何でいるんだよっ!?」
「ここ、ぼくの家なんだけど。しかもさっき言ったよね」
「いー兄さま、ごめんなさい…。この顔面刺青童顔殺人鬼が勝手にわたしをここに引き込んできて……。うぅ…、怖かったです」
「ゆらぁ、り…。玉藻ちゃん…の、ナイフを全部捨てる、と脅されました……」
「はぁっ!?なに俺に全部罪をなすりつけてるんだよ!?つうか玉藻ちゃん!俺そこまでひどくねぇよ!?」
「最低だね…人間失格。前々から失格だとは言ってたけど、ここまでだったとは…。
今度から変態と呼ばせていただくよ。それともエロ刺青と呼ぼうか?」
「……おい、いーたん。なんかどこかで聞き覚えのあるその呼び名はやめろ。つうか俺は変態じゃねぇよ。むしろ変態は兄貴だっつーの…」
「(ピッ。…プルルル…プルルル…)
…こんにちは、潤さん。零崎が約束を破って殺人をするそうですよ。……あ、今ぼくの家にいます。…はい、どういたしまして……。
(ピッ)
…ふぅ。これでよし」
「…って何がいいんだよ!?つうかいーたん、お前の方が人間失格だろ!仮に遊びだとしても親友を売るか…っ!?」
「ぼくは知らないよ、零崎。
それに、勝手に人の家に居座ってナイフを広げてる奴には言われたくないね。
…そういえば、哀…潤さん、あと十分以内にここに来るってさ」
「な…!?早くそれを言えよ!
あぁもう!いーたんの馬鹿野郎っ!
じゃあなっ!!」
バタバタバタ…
「……結局、何しに来たんだ?」
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