07

白玉ぜんざいはルキアの言った通り、確かにかなり美味しかった。

「それにしても幸運だったな、最後の二人だったとは。現世の言葉でらっきーと言うのだろう?」
「ラッキーじゃよ。イントネーションが違うなり」
「イントネーション?」
「あぁ……、語調のことぜよ」

帰りは特に急ぐ用事も無いので、会話をしながらルキアと並んで歩いていた。死神と着物を着た普通の人間が一緒にいるのが珍しいのか、時々チラチラとこちらへの視線を感じる。

「そういえば、明後日に私の友人が現世から遊びに訪問するのだが……雅治も一緒に来こないか?」
「ええんか?」
「あぁ。紹介もしたいしな。……実を言うと、あまり此処には友人がいないのだ」
「そうか」

お互い無言になった。
街の喧騒だけが耳に届く。周りの目など全く気にならなくなった。昼時になりつつあるので、他の死神の姿もちらほら見受けられる。
しばらくして、話題を変えようと仁王は口を開いた。

「現世からっちゅうことは、その友人は駐在任務じゃったんか?」
「いや、あやつは死神代行だ」
「死神代行? 初めて聞いたのう」
「簡単に言えば、死んではいないが、死神の力を手にした者のことだ。常時、任務には就いているな」
「ほぉ、それは大変そうじゃな」
「うむ。なかなか学業と両立出来んからな」

懐かしむように話すルキアを見ると、よっぽどその友人と仲が良いのだと分かる。
貴族の養子というのは本当らしく、隊で任務をこなすだけのルキアだが、ちゃんとそのような友人がいることに安心した。
時々隊舎に遊びに来る阿散井恋次は旧友らしいが、副隊長なのでなかなか一緒にはいられない。立場も何も気にすることが無い友人は、ルキアにとっては貴重なのだろう。

「……明後日が楽しみじゃき」
「そうだな」


友人関係、人間関係

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