22

瞬歩を使えば、瞬く間に景色は流れてどこかの商店街についた。
たいした理由を持たずに隊舎を出た仁王は、行くあてもなく適当に脚を動かす。
歴史を感じられる趣ながらも綺麗に舗装された街は、寒さの中でも人で賑わっていた。その中にはやはり、ちらほらと死神の姿も見受けられる。
急いで出たために防寒着も目的も無く、彷徨うにはあまりいい場所ではないと思われた仁王は、ちょうど視界に入った甘味屋で時間をつぶすことにした。
それはただの偶然だ。だから、とある甘党な友人の顔が頭を過ぎったのは気のせいに決まっている。

いらっしゃいませー、と笑顔で声を出す女性店員。いわゆる看板娘というものなのか、華やかな笑みをこちらに向けていた。
店内は落ち着いた内装をしており、全体的に暖かくゆったりとした空気が流れている。どちらかといえば、それは甘味屋と言うよりも喫茶と言ったほうが正しいように感じられた。
案内された二人分の席の内で壁際に座って、適当に注文すればやっと一段落した。そしてふと横を向けば、そこには同じ隊の同僚が甘味を食べていた。
何故こんなところにいる。
仁王が唖然として見ていれば、視線を感じられたのか向こうも顔を横にした。
目が合うこと数秒。

「――俺、そっちに行っていいか?」

先に口を開いたのは同僚のほうだった。


同僚さんとこんにちは

prev top next

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -