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5

その後もお兄ちゃんとは一言も交わさずに職員室に到着。
やっぱりお兄ちゃんの背中は少し寂しげで、心配してくれたのはわかってるんだけど、どうしても声が出なかったんだ。

情けないな、こんなんで戦に出てたなんて……

「涼花君?さっきからぼーっとしてるけど…どうかしたのかい?」

えっ?あぁ、ずっと考え事してたからかな…

「大丈夫ですよ、ちょっとこれからについて考えてただけです」
「そうか……、それじゃ職員室に入ろう」

あ、元に戻ってる。
そりゃそうだよね、先生なんだし生徒に心配されるのはあれだろうからいつもに戻ったんだよね。確かにあれで授業なんかされたらこっちが心配でまともに授業受けられないし。

私より先に入っていったお兄ちゃんは「君も入ってきな」と私を促していた。さて、私も行きますかね。

「お早うございます、今日転校してきました小日向涼花です」

しっかり挨拶とお辞儀、そして顔を上げる。顔を上げてみるとまぁびっくり、知り合いばかりでした。むしろ知り合いしかいない。

「あぁ、お前か話は竹中から聞いている」
「あ、そうですか…」
「涼花君?いくら知り合いとは言え態度が変わりすぎなのはどうかと思うよ」

いや仕方ない、だって笑いを我慢してるのまるわかりなんですもん。
流石に隠しませんか、そんなにおかしかったのか?

「……んで、担任だれですか?竹中先生?」
「涼花君、残念ながら僕じゃないんだ」
「小日向、俺がお前の担任だ」
「げっ……」

担任が小十郎さんとか……終わった。
絶対に怖いじゃん、怒らせたらいけないじゃん。
まだお兄ちゃんの方が良かった。

ちなみに、竹中先生が社会科で主に日本史担当、片倉先生が数学兼生徒指導。

不安でいっぱいの初登校


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