小説 | ナノ


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「やぁ、涼花君待たせたね……何故君がここに居るのかな?猿飛君?」
「ここの生徒なんですからここに居るのは当たり前じゃないですかー……竹中先生」

なんでだろうか……私の目の前に真っ黒い何かが見える。気がする。
闇の婆娑羅かな?まだ属性って使えたっけな?

軽く現実逃避していたけど、登校してきた生徒達がざわざわしながらこちらを見てくるので止めなければいけないなと口を開いた。

「あ、あの……佐助、先生……そろそろやめません?」
「そうだね、どこかの誰かさんのせいで遅くなちゃったから校内の案内はできないけど今から職員室に行こうか、涼花君」
「涼花ちゃんが言うなら仕方ないねー腹黒ドS先生が来たせいで居心地悪くなったでしょー、俺様が後で校内を案内するからさ」

なんだこの変わり身の速さは…ってまだ火花ちってるし。
取り敢えず、お兄ちゃんに職員室に連れて行って欲しいと伝え、佐助には昼休みに案内して欲しいと伝え一時休戦ということになった。

「それじゃ、佐助後でね。竹中先生、そんな怖い顔しないでください…そして連れて行ってください」
「俺様と同じクラスだといいねーそれじゃ昼休みに」
「……行こうか涼花君」

黒い笑みから一転、お兄ちゃんは少し険しい顔をしていた。
私のせいで気分悪くしちゃったかな。

「君は……彼を憎んでいないのかい?」

お兄ちゃんからの唐突な質問。
もちろん憎んでなんかいないから私の答えは一つ

「はい、憎んでなんかいません」

これだけ。だって、悪いのはあの時代に生まれてしまった私たちと戦のせいだから、私は誰ひとりとして恨んではいない。

「そうか……」

先生はその一言以降何も話さなくなり、無言のまま職員室へ私たちは向かった。先生は何が聞きたかったのかはよくわからないし、なんで黙ってしまったのかもよくわからない。でも、ずっと考え事をしているのだけは分かったから……私は、一回も話しかけずに邪魔をしないようにと先生の隣から後ろへと下がった。

あなたの後ろ姿が切なく見えたのには気がつかないフリをした。


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