小説 | ナノ


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昨日はお兄ちゃんの夜ふかしをおかげですることなく早く寝れた。
だからだろう、私は珍しく早くに起きていた。今までの平均睡眠時間なんて4時間だし、ひどい時は一睡もしなかったけど。
それがお兄ちゃんにバレたらすごく怒られるんだろうな。内緒にしておこう。

「涼花君、朝ごはん作っておいたよ」
「はーい、すぐ行きまーす」

お兄ちゃんは、食材を買ってないだろうということで今日の朝ごはんの準備もしてくれている、昼ごはんであるお弁当も作ってくれるとのこと。
そのかわり、今日は学校帰りに食材とその他必要なものを買いに行くため、放課後は教室で待っているか、生徒会室に行くか、部活見学に行くか、この三択になってしまう。
個人的には教室で寝ていたいけど。
取り敢えず、お兄ちゃんを待たせてしまっているため制服への着替えを済ませる。

といっても、ニットベストを着れば終わり。
私がこれから通うことになる婆娑羅高校の制服は結構可愛い。お兄ちゃんいわく制服は基本的にそこまで注意しないから自分なりの着方をしてもいいらしい。
なので私はスカートにシャツ、そしてニットベストという、とてもラフな格好ができるわけなのである。
リボンもネクタイもなし!でもニーソにローファーは絶対!これが私のアイデンティティーだしね。

「まだかい?時間はまだ大丈夫だけど、人が少ないほうがいいのなら早くしないと人で溢れかえるよ?」
「え、あっ、今行く!」

ドアを開けるとお兄ちゃんは笑顔だった。

「似合ってるよ、でもスカート短すぎじゃないかい?」
「これぐらい普通ですって」
「そうなのかい?」

そんなに心配しないでくださいよ。ちゃんと中にスパッツ履いてますから。
これより短い人もいますから。

「さあ、ご飯を食べて学校に行ってしまおう、担任が気になって仕方ないだろうしね」
「うん、まあね……」

担任がお兄ちゃんでないことを私は祈ります。
でも優しい人がいいな、それに綺麗な人だと尚更嬉しい。あれ?お兄ちゃんに当てはまってないか…?

「あ、そうだ、先生は皆いい人ぞろいだから安心するといいよ」
「分かった、……卵焼き美味しい。お兄ちゃん女子力高い」
「一応男なんだけどな」

中性的すぎて忘れてました。お兄ちゃん男だ。
女子力高いけど男だ。

「あ、でもレシピとかは休みの日に教えてあげるよ」
「ありがとう」

そんなこんなで過ぎてく朝。こんなに朝が嬉しいことなんていつ以来だろうか……
家には一緒に朝ごはんを食べてくれる人がいる。一人じゃないのがこんなに心強いなんて……きっと、今だから分かる事なんだろうな。前世ではみんなが敵、いつ死ぬか分からない。

例え自分が信頼していた人でも殺しあう羽目になってしまうのだから……


朝はすぐに過ぎていく

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