小説 | ナノ


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この間の遊園地からもうすでに1週間が経っていた。
毎日のようにお兄ちゃんに車で送ってもらってたんだけど、みっちゃんがここ最近家までお迎えに来るもんだから、みっちゃんたちとバスで学校に行くことが多くなりつつある。

「おはようみっちゃん、刑部」
「…遅い」
「今日も主は元気か、良いことよ」
「形部も元気そうで良かった」

私とは少し違った制服。男女の差ではない、決定的な違い。
それはみっちゃんが中等部の生徒だってこと。

「貴様が先輩なのが理解できん」
「私のが先に生まれてるからね」
「なぜ私だけ年下なんだ」

生まれてきた順番に文句言われてもね…私が決めたことなんかじゃないし。
正直年下のみっちゃん可愛いなーとは思ってるけど。
ローファーをカツカツ鳴らしながらみっちゃんの隣を歩いていれば、みっちゃんの文句が色々と聞こえてきた。

「少なくとも、貴様より頭は良い自信がある」
「頭の良さで生まれる速さは決まりません」
「身長も貴様より高い」
「身長も関係ないです」
「主らは仲良しよな」

刑部にそう言われれば、みっちゃんは大きな声でそんなことはない!と否定していた。
意外と傷つくんだけどな、私。
でもまぁ、みっちゃんは本気でそうは思ってないはず。
じゃないとこうやって私と一緒に登校なんてしないはずだし。

「ほらほらみっちゃん、バス停着いたよ」
「わかっている」
「今日はいつもより少し早いみたいだね、まだそんなに人並んでないし」

いつもの半分しか並んでいないのを見ると遅刻したんじゃないかと急に不安になってきた。
スカートのポケットからスマホを取り出して時間を確認してみるけど、どうやら、本当にいつもより早く着いただけみたいだ。

「主も時間を気にすることがあるのか」
「酷いな刑部、私だって遅刻してこじゅ先生に小言もらうのは嫌だよ」
「さようか」

みっちゃんも腕時計を確認してたみたいで、この時間帯に私達がバス停にいることに驚いているようだった。
いつもだと、この時間帯はまだバス停までの坂を上ってるところだしね。そりゃ、驚くだろうね。

「刑部、今日って漢字の小テストとかあったけ?」
「主のクラスなら今日だと記憶しているが?」
「まじか…漢字苦手なんだよな…」

うーん、どうしたものか。元就にでも昼休みに叩き込んでもらおうかな。
教え方は意地悪だけど、しっかり頭に入るし。

「毛利にでも泣きつくのであろ?」
「まぁね、本当元就さまさまって感じかな」
「毛利も大変よなぁ、このような馬鹿相手では」
「馬鹿って…形部もこんな馬鹿と一緒にいるなんて物好きだと思うけどね」

刑部とそんなたわいもない話をしているとみっちゃんがどこか、不満そうな顔をしていた。
気分が悪そうとか、そんなんじゃなくて、ただ小さい子がよくやる不満そうな雰囲気。

「みっちゃん、何不満そうな顔してんの?」
「なんでもない」
「なんでもないわけないと思うけど」
「貴様には関係ない」

これは、ご機嫌ななめですわ。
バスも来てしまったことだし、どうにかしてバス乗ってる間に機嫌直さないと、おんなじクラスの人が大変な目にあうかもな。
それにしても、なんで急に機嫌が悪くなったんだか。

我が家の困った後輩君

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