小説 | ナノ


9

降りた駅から少し歩けば、遊園地の入口が見えて来た。
人気なだけあって、やっぱり人は多いし、今日が休日だから尚更。

「結構おっきいんだね、もっとちっちゃいのかと思ってた」
「アトラクションも多いから、楽しみにしとけよ」

そう言って笑った元親は、わしゃわしゃと私の頭を撫でた。ごついけど、優しい手。
笑顔の元親に釣られて私も笑顔になっていた。

「うん」

元親からチケットを貰って入場ゲートへと向う途中で佐助は一人スタッフさんの元へ向かっていた。
どうしたんだろうと思い、ついて行こうとするが慶次に手を引かれているためそれは叶わなかった。

入場ゲートでスタッフさんにチケットを渡して、皆が来るのを待っていた。
あまりの人の多さに皆散らばって入場したものだから、入場してくるのもバラバラ。私は慶次と同じ所から出たから、探さなくても平気だったんだけど。

「お、後は佐助だけかな」
「途中でどこかに行ってたしね、そりゃ一番最後ですわ」
「俺様が居なくて拗ねてたの?」
「それはない」

佐助はいきなり現れるからとても困る。いきなり背後から声かけられるのだけは慣れないからやめてほしい。

佐助がきたところで全員が揃ったので取り敢えずどこかアトラクション回ろうと慶次が言うと、元親と意外にも元就が声を上げていた。

「何行く?」

何があるのか知らないので、皆にそう聞くと待ってましたと言わんばかりに、一斉に口を開いた。

「ジェットコースターなんていいんじゃねぇか?」
「いやいや、向こうの空中ブランコだっていいと思うよ俺様」
「ここはお化け屋敷じゃない?」
「…コーヒーカップ」
「え?」

皆が絶叫マシンだったりを推す中、元就が推したのはコーヒーカップ。
思わず、え?と言ってしまったが皆も口がだらしなく空いていた。

「我はコーヒーカップを推すが」
「最初だし、コーヒカップでいいんじゃない?」
「涼花ちゃんがそう言うなら俺様はそれでもいいけど」

佐助が同意すれば、皆も同意していた。
だが、人数の関係上3グループに別れなければいけない。そこでまた、口論が始まってしまった。

そこまで必死になることですか?

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