小説 | ナノ


9

昼休みが終わった後、すなわち5〜6時間目も私は元就の刺さるような視線と女子の憎悪のこもった視線でとても集中なんてできるはずがなかった。
しかも竹中先生の授業があったから尚更だ。授業中先生の背中に見えていた黒い何かは幻だと思いたい。むしろ思わせてくれ。
もしかしなくても私は、クラスの女子……いや、学園内の女子(多数)を転校早々敵に回したと思われる。多分周りからの私の立ち位置は佐助の幼馴染で、政宗の旧友。それでもって元就の彼女もしくは許嫁という感じなのだろう。

「――というわけだ、忘れるんじゃねぇぞ」

考え事をしていたせいで見事に聞き逃した。忘れるなというぐらいなのだからきっと大切な話だったんだろう。後で、佐助にでも聞こう。政宗は論外として、元就は聞いてないとは何をしておる!ってお説教始まるから無し。
やっぱり、佐助しかないないか……

「あ、涼花ちゃん放課後に学校案内するから」

お手本と言えるようなウィンクと共に放課後の予定が決まった

「ん、ありがと助かるよ」

私にとってはすごく助かる。教室で一人悲しくまったり、生徒会室で窮屈な思いをしたりしなくて済むから。当初は教室で待つ予定だったけども……
助かるのだが、佐助も部活には入っているんだろうしそこらへんは大丈夫なんだろうか

「きりーつ、れい、さよーならー」

皆が部活に移動し始める中、男子と思われる何かが廊下を全力疾走してきたのを見た。チラッと見えたのは赤い鉢巻。その男子(仮)は私たちの教室の前で止まると

「佐助ぇぇ!一刻も早くお館様の所へ行くぞ!」
「あ、旦那今日はちょっとパスね?学校案内もだし今日は新聞部の方に行くから」

あ、佐助掛け持ちしてたんだ。ちなみにここは中高大とエレベーター式で、実力主義だから高1でも部長やってたり生徒会長だったりするらしい。

「む、そうであったな……お館様には言っておくでござる」
「ごめんね旦那ーよろしく」

また全速力で走っていく男子……もとい、真田幸村。佐助の前世での主だった人、私も面識はなくはない。

「全く、旦那は本当に困るよね……廊下は走るなって言ってるのにさ」
「いいんじゃない?昔からそういう人でしょ、真田君って」
「流石だね、言ってくれるじゃない涼ちゃん」

涼は私が甲斐に潜入捜査の時に使っていた名前、佐助にはバレてたみたいだけども真田くんにはバレてないらしい。
さすがというかなんというか、みっちゃんもどちらかというとすっごく単純だけど、それに負けず劣らず単純なのが真田君だよなーって感覚がある。

「さて、そろそろ行こうか?」
「あ、うん」

さりげなく気を使ってくれるあたりいい人なんだよな意外に、とか思ってしまう。見た目はすっごくチャラそうだけど意外と好きな人とか恋人は守るタイプという感じ。あくまでも私の一方的な考えなのだけども。
そういえば慶ちゃんもそんな感じだなーチャラそうで、女の子大好きで、女子力がそこそこあって、でも本当に好きな人には一途。
あーあ、みっちゃんとか慶ちゃんとかこの学校いないのかな?まだ一回もあってないんだよね……まぁ、この時代に生まれてるか、記憶を覚えてるかなんてわからないけど。

「おーい、聞いてる?」
「え、あぁごめん考え事してた」
「ここが、俺様が週二回くる新聞部の部室ね、火・木ならいるからさ」
「へぇ〜もう一個の部活は?」
「サッカー部だよ?ちなみに竜の旦那が野球部」

あ、なんか嫌な予想がついてしまった。
バット6本もってふりまわしたりとか。

部活何にしようかな?

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