小説 | ナノ


8

爆弾発言からどうにかこうにかクラスを落ち着かせ、やっと昼休み。
もちろん、元就の発言のせいで私はもうすでにクラスの女子から目をつけられた。……気がする。

いや、現在進行形での視線の矢といったら厳島に潜入したとき並みですよ。

「うわぁぁぁ、もう駄目だ……このクラスでこの学校でやっていけない……」
「涼花ちゃん大丈夫だよ、その時は俺様が貰ってあげるから」
「いや、遠慮しとく」

そう言いながら自分のバッグからお弁当を取り出そうとしたがお兄ちゃんに貰ったお弁当は何故か入っていなかった。
しっかり朝もらった時にお兄ちゃんの目の前で入れたから入っているはずなんだけどな……

そう思っていた矢先に教室のドアがあいた。

この際伊達でもいいから弁当分けてくれないかなぁ……

「やあ、涼花君お弁当今日持っていくの忘れただろう?持ってきたよ」

背後から、急に声がしたと思ったら、お兄ちゃんが私のお弁当を持って立っていた。
いやいやいやいや、どこで?いつの間に?と言うかなぜ?

「あ、ありがとうございます先生。でもなんで先生が持っているんですか?」
「あぁ、それならね君の親戚のお兄さんが持ってきてくれたからだよ」

副音声で再生すると「お弁当いつ盗ったの?」「カバン入れたあと」となっていたのはここだけの話。

だけど人の昼食を取らないでください、死んじゃうんで。空腹的な意味で死んじゃうんで。
それよりも大事なことは私の斜め後ろからくる鋭い視線。これは言うまでもなく元就だろう。
自分から来ればいいのに絶対に自分からは来ない、来るとしたら本当に大事なことを伝えることだけ、とにもかくにもこれは元就からの構っての合図なのだ。本当に昔から変わらない。
ただ、今の状況で元就の方へ行ってしまうとお兄ちゃんという壮絶なる地獄が見えてしまうことになる。
私もまだ高校生だ、あの世に一歩踏み出すだなんてとんでもない。私には有望かもしれない未来が待ち構えているのだから!

「ところで、涼花君、誰かな君のファーストキスを奪った奴は」


既に地獄が見えてました。はい、お兄ちゃん後ろの黒い何かをしまってくれると嬉しく思います。というかしまってください。お願いします。
いつこの情報が流れたのかは分からないが、多分クスクス笑っている女子グループか、こじゅ先生だろう。こじゅ先生なら言ってくれないとは思っていたのだがこんなの見せられちゃ誰でも口を滑らすだろう。なんせ笑顔で威圧してくるのだから。

「何のことですか?私ファーストキスならお父さんですよ?」

なるべく自然にバレないように事をすすめる。

つもりだった。
私の計画は元就の無駄な一言で音を立てて崩れた。

「何を言っておる涼花。我と愛を確かめ合ったではないか」
「お願いだから元就様は黙っててください、あと意味深なことを言わないでください」

さっきよりも威圧感がすごくなったお兄ちゃんにそれこそ恐怖を覚える。これはもう嘘の付きようがない、なんでこの人は空気を読んでくれないのだろうか……。

そういえば学校案内はどうなったんですか?

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