3話 大好きなものと大好きな君
コンコン
「誰?」
「俺だけど……。」
「入ってきなよ。」
俺は応接室の扉をゆっくりと開けた。
「やぁ、どうしたんだい?」
まだ仕事の終わってないのか、机の上に書類の束が乗っている。
だが、ヒバリは試合結果を楽しみにしているのであろう、顔を少し綻ばせている。
今の俺にはその笑顔(?)が眩しい。
「その……」
「試合、負けたんだろ?」
「!!」
「顧問からすでに連絡貰っててね。」
「……」
「試合内容も聞いたよ、君、相当頑張ってたって。
恥ずかしくないものだったって。」
そう言うヒバリに俺は嬉しく思う。
けど、けど
「けど、負けちまった…。
どんだけ頑張っても、手の届かなくて……ホントはヒバリをいろんな球場連れてっていろんな試合見せたかったのな……!」
「なら、それは来年果たしてよ。」
「え、」
「だって君はまだ2年生だろう?
僕はまだここにいるつもりだから、来年の夏僕をいろんなとこに連れてって見せなよ。」
「ヒバリ……。」
「楽しみにしてるよ、山本武。」
「おうっ!任せとけなのな!」
俺って単純だな。
ヒバリの言葉だけで負けたのは良い経験になっちまった!
よし、そうと決まればこれから自主練だな!
「気を付けなよ。」
「おう、さんきゅな!」
バッタン
応接室の扉を力いっぱい閉めて走って俺はグラウンドに向かうのだった。
そんなこんなで俺とヒバリの夏休み二日目が終わった。
明日、どこかへヒバリを誘おうと思いますっ!
<続>
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