1話 事の始まりは


‐「俺、ヒバリの事が好きなんだ」

‐‐「ヒバリ、俺と付き合ってください!」

‐‐‐「ひ、ヒバリ…?」

‐「……好きにすれば?」








山本に(1年間)言い寄られ付き合い始めてから2か月が経った。
時間というのは早いもので気づいた時にはもう夏休み目前。



「なーなーヒバリ。」

「何。」

僕等ははいつもと変わらず日中よりは涼しくなった道を歩いている。
夕方7時頃だというのに空はまだ明るい。
どこからともなく蝉の五月蠅い鳴き声が聞こえる。

「夏休みってヒバリはいつもどう過ごしてる?」

ふと、山本が言い出す。

「ねぇ、それって今答えなきゃいけないこと?」

蝉の声にイライラしてた僕は黙れとでも言うよう山本に言った。

「今すぐ!頼む、ヒバリっ!!」

「はぁ」

僕は何故か彼の押しに弱い。
彼の頭に犬耳がついてて、それがしょぼくれてるように見えるだなんて、この暑さから起こる幻覚だ。

「普通だよ。」

「友達とアイス食ったり、部活したり、海行ったりすんの?」

「僕は群れないからそんなとこ行かないよ。
普通って言うのはいつもとやってることが変わらない、そういうことだよ。」


「……マジで?」

淡々と言った僕に山本は少しの間の後目を大きく見開いた。

「僕は嘘が嫌いだよ。」

「ヒバリ……。」

なんなんだ、次は。
何でそんな可哀相な人を見るような目で僕を見るの。

そんなことを考えていると

ガシィィィィイ

「?!?!」

いつの間にか僕は山本に腕をガッチリと掴まれていた。

「ヒバリ!
俺がヒバリに最高の夏休みの過ごし方教えてやるのな!」

「はぁ?」

「って、訳だからまた明日なのな!」

目の前には僕の住んでるマンション

「え、ちょ、どういうi」

「またなー!」





大きな声で去っていく僕の恋人を僕は掴み損なった手を彷徨わせながら見ることしかできなかった。






























<続>


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