18話 決戦‐中編‐


「なかなかやりますね、彼。」
「たまたまでしょう、一次試験は恭弥さんの入れ知恵だったようですし。……来たようですね」

ウィーン コツコツコツ
特殊なカードがないと入れないその部屋のカードを挿入し、鉄で覆われたその部屋の中に入る雲雀。
部屋の壁は大量のテレビ画面しかない。

「失礼します会長。」
「心は決めましたか?」

振りむきもせずただ大量のテレビの映像に目を映していく雲雀の祖母。
映像は並盛の到る所が映し出されている、並盛港の映像の所に山本はいた。

「(あれを通過したみたいだね…良かった)」
「まだ悩んでいるのですか。至極簡単なことじゃないですか、山本武が恭弥さんを捕まえられれば二人とも自由、誰にも捕まらなければ恭弥さんは大人しく言うことを聞く、それに伴い山本武の命・並盛の経済・草壁哲也の生活の保障はする、と。良い保険だと思いませんか。2人で自由になったとしてもその後から次々と追手がこれば貴方達も生きているより死んだ方がましだと思うくらいになると思いますよ。その恐ろしさは貴方が一番知っているでしょう、恭弥さん?」
「……」
「時間はありませんよ、早く決めなさい。」
「……呑んであげるよ、その条件。それに僕が山本の前に現れて彼が力を発揮して負ければいいだけの話だ。すごく不快だけど。」
「あぁ、貴方の鳥と優秀な部下どこ行ったか気になりませんか?」
「!!!……彼らに何かしたの」
「別に何も。少し窮屈な思いはされてるでしょうけど。」
「……そう。別に僕は彼らの事はどうでもいい。」
「死んでも?」
「僕のためなら死ぬのも本望な奴に育てたからね。」
「優秀な部下ですね、貴方のせいで死なせるにはもったいないくらい。」
「」
「上条、恭弥さんに目立たない格好をさせてきなさい。」
「はい、それでは恭弥様こちらへ。」

ウィーン

「何時からそんな準備を…?それにルールを恭弥様が守るとも思えないのですが…。」
「昨日少し…ね。あの子は守りますよ、意外と人の子だったみたいですね、あんな脅しで動揺するなんてまだまだ。」
「でも、そんな風には…それに何故武器を取り上げなかったのですか?」
「無理はないですよ、嘘をつくのは上手くなってますから、私に気づかれるようじゃまだまだですけどね。武器を取り上げなかったのは……」「失礼します、会長!!新しく追加するルールはこれでよろしいでしょうか?」
「ちょうどいいところに…藤堂、それを見てみなさい。」
ペラ
「!!!」
「あの子の性格なら誰に対しても”そのこと”に関しては平等だからですよ。」




ブロロロロロロロロロロロロ
上空にヘリコプターが一機、そのヘリコプターの下に大型画面が設置されている。
18コーポレーションはやることが大掛かりだ。
『皆さま、時間となりました。これより最終試験の課題を発表します』

「(あれ、ヒバリは…?)」

『最終テストは我が社の後継ぎ、雲雀恭弥様を探すことです。』
そう言って雲雀の顔が大型画面にて表示される。

「ヒバリを?!」

「恭弥様はこの並盛内にいます。単独で行動していますので私たちにも恭弥様の居場所は把握していません。ルールは簡単、午前12時ちょうどに恭弥様をここに連れてこられた人の勝利です。見つけて連れてきただけでは勝利にはなりませんので、気を付けてくださいね。武器の使用等財力を使って助けを呼ぶのもありです。ちなみに恭弥様も武器を所持しています。しかし建物の破壊、一般市民への障害は即失格、日本にいられなくなると思って下さいね。それではよーい始め!」

「(ヒバリを見つけられても戦うことになりそうなのなー…)」

”始め”の声とともに山本は走り出す

「……全く。武器を取られなかったと思ったらそういうこと。」

なら来た奴ら全員……咬み殺す!
近くで聞いていた雲雀も走り出したのだった―――









それぞれの想いを抱え最終試験の幕は開けたのだった









<続>


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