17話 決戦‐前編‐


「おはよ、ヒバリ!」
「…はぁ、全く君ってやつは…」
”ネクタイも締めれないの”そう言って雲雀は山本のネクタイに手を添えネクタイを締めた
シュルシュル、キュッ!!

「んぐっ!!」
ネクタイを締める力が強すぎて山本の首がしまった。
「ほら、遊んでないで早く行くよ。」
「ごほっ、ひ、ヒバリ待ってって!」

試験会場が並盛…あのくそババアどうやらまた変なことでも考えてるのか…。
でも、もう僕は逃げない。
山本が進む道を教えてくれたから、それに後戻りはできない。

ガチャ
「恭弥様、到着いたしました。」
「……フン。」

久々に足を踏み入れた並盛。
地に足をつけるだけで落ち着くそこはとても心地が良くて、若干、草食動物が調子づいてるとこを除けば至っていつも通りだ。
さすが僕の並盛、王がいなくても民は従順だ。

第一次試験、筆記―会場、並盛小学校

『それでは時間になりました、テストを始めてください』

放送が入り女がそう言うと一斉に小学生の教科書ぐらいある冊子を参加者全員が一斉に開き問題を解き始めた。

「(……)」

雲雀は隣にいる山本の顔を見る。

「(うわ…)」
「(……やっぱりね。まぁ無理もない、あの家庭教師が教えてた範囲とほとんど違うから。)」

山本は最初のページを見て渋い顔。もう一度問題を読む雲雀。

「(でも全部が全部違うわけじゃない。僕がそんな爪の甘いことはしない、貴方の裏ぐらい掛ける冷静さはある。)」


カッカッカッカッカッ
ペンと紙が擦れる音が静かな部屋を満たしていく。

『止め』

女の声が突然教室に響く。
一斉に冊子を閉じ全身黒ずくめの男たちがあっという間に解答用紙を回収していった。

「ふー」
大きく伸びをする山本
「言ったとおりだったでしょ。大婆様を信じるだけ無駄だって。」
「まぁ…な。でも危なかったのなー!雲雀が他のとこも教えてくれなきゃ完璧落ちてたわ。」
「そう言うってことはちゃんと解けたみたいだね。」
「自信はないけどな!」
「……何か心配になってきた。」

『ただいまのテストの結果を発表します……―』

文句無しで合格した僕と山本は次の試験のためにグラウンドへと足を進めるのだった。






『次は宝探しです。このグラウンドには数百個のカプセルが埋まってます。当たりは5つ。当たりを引き当てれた者が最終試験の挑戦が認められます。時間は3時間、それでは皆さんの健闘を祈ります。』

「よーっし!いっちょやりますか!」
放送がそう告げると山本を含めた一次試験合格者達は一斉に土をスコップで掘り出していく。

「(……待ってるよ、山本)」

僕はそんな山本の背中を見送ってから後ろに控えている男に声をかけた。

「何。」
「会長がお呼びです。恭弥様だけに、と。」
「そう、今行く。」

雲雀と男はその場から背を向けて歩き出した―――――





ザッザッザッ
穴を掘り始めて1時間、2時間と過ぎていった。”当たり”を見つけたのは今のとこ2人。
「(疲れた…ヒバリがいないってことはヒバリはもう見つけたんだろうな…)」

だけど、俺だってもう置いてきぼりばかりは喰らうわけにはいかない。
あいつの傍に居たい、居てやるってそう決めたから。
こんなに真剣になれるのは全部ヒバリだから、だから…

「負けるわけにはいかないのな!」

疲れてる場合じゃない、そう叱咤して山本は土を掘っていく。
「あった!!」「こっちもだ!!」

試験終了まで残り15分。
連続して2人の”当たり”のカプセルが掘り出された。

「(ヤバい…!!)」

ザッザッザッ
残るカプセルはあと一つ。時間もあと10分を切ろうとしてる。
山本はこれでもかってほど掘り始めた、
ザッザッザッザッザッザッ

『残り5分』

ザッザッザッ…カン
「これか?」
ある男がカプセルを発見した。
「!!」
「ハズレかよ!」
「ふー」
ザッザッザッザッザッザッ

『残り3分』

どこだ、どこにあるんだ。

『残り1分』

嫌だ、嫌だ。頼む、見つかってくれ。

ザッザッザッザッザッザッザッザッ…カーン
「!!」

『残り30秒』

開け、動けよ俺の手。
長時間穴を掘り続けたせいか、山本の握力が急激になくなり上手くカプセルを開けることができない。

『残り15秒』

パラッ
中に折り畳まれた紙を開く

『残り5びょu』
「あった――――!!!!」

『時間です。試験管参加番号20の確認を。他不合格者は即刻帰りなさい。』

「間違いありません。次の会場は並盛港だ、30分後最終試験がある、行け。」

「うっしゃあ!!」

待ってろよヒバリ!今行くからな!


最終試験会場へ、山本は走る―――













<続>


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