16.5話







「(とうとう明日か…。)」

今日は29日の土曜日夜…あと数分もしないうちに30日になる夜。

「(寝れねぇ…やっぱりひとっ走りしてこよう。)」

ザッザッザッ
山本は裏口からそっと出て走り始める。

―――――満月の夜だった




「ヒバリ、元気ないネ!」

「そう見えるかい?」

山本と逃げる前に落ち合ったあの場所の橋に腰をかけ、ヒバードと共に月を眺めていた……。

「ヒバード、見エル!」

「…そうかもね。
ねぇ、ヒバーd」

「ヒバリ…?」

「!!」

橋の先端、山本はジャージ姿で立っていた。

「どうしたの、寝れないの。」

「はは、なんか緊張しちゃってな。」

「早く寝なよ、君はちゃんと睡眠をとった方が力を発揮できるよ。」

「……ヒバリ?」

「何。」

「何かあったか?」

「……何もないよ。」

少しの間が空いて応える雲雀に、山本は少し感じるところがあったがそれを無理やり押し込めた。

「そろそろ戻るわ。」

「うん…。」

「おやすみ、ヒバリ」

「おやすみ。」

山本は来た道を再び戻り始めた。
背中が遠くへ小さくなっていく…

「ねぇ、ヒバード。」

「?」

「もし僕が山本の前から突然消えたら山本はまた探すかな。」

「山本、探すよ!ヒバードわかる!」

「そう…。」

『……』

その後のヒバードと雲雀は言葉を交わさず、ずっと月を眺めるのだった―――――





30日、決戦が始まる……!!







〈続〉


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