16話 兆し
「―――であるからにして、これは――――になった。」
『……。』
「では今日はこの辺で、お疲れさまでした。
明日までにレポート提出お願いします。」
そう言って今までホワイトボードで教えてた先生らしき男が部屋を出ていく。
そして5分もしないうちに違う男が入ってくる。
次の授業だ。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜がこういう意味になり、
ここはこれとなる。―」
『…』
午前中は8時からすでに勉強だ。
6時には起床し8時に授業。
1教科基本1時間授業で休憩という休憩は無く、講師をする奴が出てけばすぐに違う奴がこの部屋に入ってくる。
唯一の昼ですらのんびりさせてくれる時間は無く、30分以内で飯を済ましすぐに午後の授業だ。
ちなみに午後は経済や社交辞令などの一般教養に当たるものだ。
3時間弱がっつり勉強してその後は武術の鍛錬。
胴着に身を包み剣道である。
これまた4時間がっつり行い、7時くらいに飯。
そっからやっと解放され自由行動となる。
「……。」
「……ヒバリ。」
くたっと身体を机に押し付けた山本が目だけ雲雀の方に向ける。
「何。」
「毎日こんなことしてたのか?」
「当たり前でしょ。バテたの。」
嘲笑を浮かべ山本に言う雲雀。
「いや…。あはは…なんかもう負けそ。」
「……いいよ」
「え?」
「別に負けてもかまわない。
君に押し付けてしまっているようなものだから、君は負けても良い。
もし精一杯君が頑張って負けて僕が跡取りになったとしても」
山本に背を向けポツリポツリと雲雀は言葉を紡ぎだす。
「ヒバリ…」
「…。」
「ヒバリ。」
「何」
「勉強教えてほしいのな。」
「……。」
「もう負けねぇよ、だって俺達の未来がかかってるもんな!」
「……そう。
ちゃんと覚えなかったら咬み殺すからね。」
「ちょっ」
―――――
――――
―――
――
―
「さっきも言ったでしょ。
ここはこう。」
ボコッ
「あでっ」
「計算ミス」
ドガッ
「ぐあっ」
それから3時間…もう辺りはすっかり静まり返り夜中の12時を回った。
「ふわぁ…」
「(こくっ、こくっ)」
「(今日はだいぶん勉強したからね、当たり前か…。)」
布団を山本にかけてやると雲雀は部屋を出た。
「おやすみ、山本。」
「zzZ」
「後6日…。」
暗い空を仰ぎながら雲雀は自室へと戻っていくのだった―
<続>
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