12話 突入


ブォォォォォォォオン

「ここが…。」

古い造りの家の前表札には『雲雀』と書かれている。

「ヒバリ!ヒバリ!」

着いた早々ヒバードは山本の元を離れ飛び立つ。

「おい、待てよヒバード!」

ヒバードは"ヒバリ"と呼びながら飛んでいく。
山本もバイクを置いて壁をよじ登り侵入する。
低い壁なのですんなりと侵入することができた。
ヒバードはどんどん奥へと向かって飛んでいく。

「ヒバリ、ヒバリ!」

コツコツ
ある部屋の窓をヒバードはつつく。


「う、あぁー…」

「ヒバリ?!」

ヒバードに追いついた山本はヒバードの様に窓から中を覗き込む…すると雲雀は床に臥せていて苦しそうに呻いている。

「ヒバリ!!」

思わず山本は叫んだ。
扉は……あっちだ!
山本はヒバリの部屋に入るために走り出した―――――




―――――暗い、寒い…。ここは…あぁ、そうかまたぼくはおしおきされてしまったのか。

雲雀はぼーっと前だけを見据える。

"アナタなんか産まなければ良かった!!!"
"あなたさえ死ねば!!"

ヤメテ、苦し…っ

"キャアアアアアアアアアア"

ごほっ、ごほっ

"恭弥さん、こっちに来なさい。"

……はい ―――――ヤダ、行キタクナイヨ

"これからアナタは跡取りとして勉強するのです。"

はい ―――――跡取リ?何デボクガ?

"≪ベッチーン≫なんですか、これは!まだ学習ができてないのですか?!
またあの部屋で反省でもしていなさい!!"

はい……――――――暗いよ…寒いよ……どうして?ぼくはここにいるの?

"…ふん、このくらいの点数…当たり前です。
次もとらなければ…わかりますね?"

………はい。―――――いい点数、いい点数。100点以外は点数じゃない。

わかってる!!
けど、知りたくない!嫌だ!イヤだ!ヤメテ!!
もういい!ヤメテ!ヤダ……。

"―バリ!!"

……誰?

"―リ!!ヒバリ!!"

……なんでここにいるの?

"起きろよ、ヒバリっ。"

ヤダ、だって起きたら君はいないじゃないか。

"いるぜ、ホラ、見えるだろ?"

!!

――――――――――暗い闇に一筋の輝く光が差し込む

"ほら!起きろよヒバリ!俺はここにいるのな!"

……山本。

ひび割れて壊れていく黒い闇、そこから伸ばされるのはごつくて頼もしい手。
雲雀もその手に自分のを伸ばす。
手と手が触れて―――――しっかりと掴まれ―――――指を絡める







目が覚めると………




「……やま…も…と?」

「おはよ、ヒバリ!」

「何…で?」

何で君がここに?
どうして、また僕の手を握ってくれているの?

―ギュッ―

山本はヒバリを抱きしめる、きつく、熱く……。

「オレはヒバリがなんかすげぇとこの跡取りだろうとかんけぇねえよ。
オレは…山本武は"雲雀恭弥"が好きなんだ!
だから……何でも一人で抱え込むなよ。」

「山本……。」

雲雀が山本の背に手を回そうとした時

「何をしてるんですか、恭弥さん?」

『!!!!!』

「誰ですかそいつは」

二人の眼に絶望が映る

「大婆様っ、こいつは!」
「オレは…!」

二人は一緒に立ちあがり立ち向かおうとするが

「捕まえなさい。」

『はい』

無情にも黒いスーツを着た男達は山本を襲う。
あっという間に山本と雲雀は引き離される。


「ヒバリ!!」

「山本!!!」

お互い手を伸ばすが交わらず、山本は雲雀の部屋から追い出された。

「恭弥さん、しばらくこの部屋で反省していなさい。」

ピシャン!!

襖が勢い良く閉められスーツの男が3人部屋の前に立っていた――――――


―――――ドスッ

「いてっ!」

「2度とこの敷居をまたぐことはない、去れ。」

バンっ カチャン
山本は裏口の扉から外へと放り出された。
そして瞬く間に閉まる扉、かけられる鍵。

「……くそっ!!」

ドン! カサ…
壁を殴る山本。

「ん…?」

見覚えのない紙が山本の体から落ちる。
その紙を開くと…

『!!』

山本は歩き始めた―――――。


――――――――――
――――――――
――――――
――――
――


「……山本…。」

ごめん、やっぱりもう君とは……。

「失礼いたします。」

そう言って襖をあけて一人の男が入ってきた。
手にはお膳を持っている、正直今はご飯なんか食べれる気はしない。

「悪いけど、膳下げてくr」 「委員長。」

「?!」

部下の中でオールバックの奴は知らないぞ、僕は!!
というよりもここに部下がいることはないはず、君は誰??

「?」

未だに頭に?マークを浮かべる雲雀。

「すみません、委員長、勝手ながら迎えに来させていただきました。」

そう言った男は口に葉っぱを銜えオールバックの髪型をリーゼントにし、そしてサングラスをとり深々と土下座をする。

「……草壁。」

雲雀はようやく気付いた。

「はい、風紀委員副委員長、草壁哲也。
委員長のお迎えにあがりました。」

「……ホント、勝手すぎるよ。」

ふっと息を抜く雲雀。草壁もふっと笑う。


「委員長」

「何」

「山本武にお会いしてください。」

「………何で」

「このままでは委員長が壊れてしまいます。」

「誰がそんなこと決めたんだい?」

「お言葉ですが、委員長、そんな顔してまだ嘘がつけるのですか?」

「何それどういうこt」

草壁はヒバリの手を掴み頬へと手を当てる。
ポロポロポロ
雲雀はそれで気づいた、自分が泣いていると。

「委員長……」

「君がしつこいから行くんだからね。
この気持ちのけじめ……つけさしてもらうよ。
後で君をかみ殺すから覚悟しなよ。」

「はい!」

ふっと笑った雲雀に草壁は嬉しく思ったのだった、夜は更けていく―











<続>

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