8話 ヒバリのため息






「……………。」

いつも通り応接室での作業を終えて帰ってきた雲雀。
ポストの中に珍しく1通の手紙が入っていた。

ガチャン

雲雀はそれを持って早々と家の中に入る。

「………。」

ガサガサガサ
手紙を乱暴に開け読み始めた。


『恭弥さん、
一回帰ってきなさい。
お話があります。』

「………。」

読んだ雲雀の顔が曇る。
が、母の言うことを無視するなんてのはできないので、雲雀は帰る覚悟を
決めるのだった。








ガチャッ

「よっ、ヒバリ!」

「ん。」

ノックもせずにいつも通り勝手に入ってくる山本

ドカッ
勝手にソファに座りおもむろに鞄から出したのは野球の雑誌。
どうやらそれで暇を潰すらしい。
とても有り難い。
さぁ、僕も書類進めるか。








「……はぁ。」

「…………。」

あれから何時間経ったかなんてわからない。
でもだいぶん書類も片付いてきてこの分だとあと数分で終わるだろう。
そんな時だった―

「ヒバリ。」

「何。」

「なんかあった?」

「!」

山本はさっきまで読んでた野球雑誌を机にほおってヒバリを一直線に見る。

「今日のヒバリおかしいぜ?」

「……。」


なぁ、ヒバr」

「何でもない。」

真っ直ぐに見てくる山本に僕は視線を逸らすことしかできない。

「そっか、ならいいのな。」

そう苦笑いして、山本はまた雑誌を読み始めた。

「あ、そうだ。」

「何?」

「明日から親父の実家に里帰りすんだけど、ヒバリも行かね??」

「なんで。」

「俺がヒバリといたいから。」

「!」

また恥ずかしい事をぬけぬけと.....。

「ダメか…?」

「……君が淋しいみたいだから行ってあげる。」

「ははっ、やったのな!
さんきゅっ、ヒバリっ!」

そのあと書類を終えた僕はいつも通り山本と帰った。
家に帰ってから机の上にある手紙に変な威圧感を与えられる。
山本と会えるのも、これが最後……かもしれない。
そんなことを考えながら眠りにつく僕であった。













<続>


- 10 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -