6話 翌日





チュチュチュン
つんつん

「…ん。」

雲雀は何かに突かれ目を覚ました。

「君か。もうそんな時間かい?」

「ヒバリ、オハヨウ。
ヒバリ、オハヨウ。」

ヒバードは飛びながら言う。
山本を起こさないように静かに飛んでいる。

「おはよう、いい子だね。
じゃ、山本引きとめといてね。」

「ワカッタ、ワカッタ。」

ガチャンー

雲雀は寝室を出てキッチンへ向かう。


コトコトコト
ジュージュージュー

「ん…あ?」

良い匂いに誘われてか山本は目を覚ます。

「ヤマモト、オキタ。
ヤマモト、オキタ!」

パタパタパタ
山本の頭上を飛び回るヒバード。

「あれ、ヒバードだけか?
ヒバリは?」

「ヒバリ、ゴハンツクッテル。
ジャマスルナ、カミコロス!!!」

「はは、ヒバリが言ったのな?」

「カミコロス、カミコロス。」

「わかったよ、ヒバリが作り終えるまで待ってるのな。」

「ヤマモト、イイコ!イイコ!」

んじゃま、少しの間待ってっか!

山本は雲雀が呼びに来るまでヒバードと戯れることにした。

―数分後
ガチャン―扉が開く。

「山本、起きてる。」

「あぁ、オハヨウ、ヒバリ!」

「おはよ…。ご飯できた。」

「おぅ!
もう腹ペコなのな〜。」


二人は机に向かい合わせに座る。

『いただきます。』

「おっ、朝からちらし寿司って豪華なのな!」

「ホントは昨日の夜作るつもりだったんだけど…。」

「良いって、おっ、うめぇーな!」

「そう、良かった。」

ガツガツガツガツ

山本はお皿に盛られているちらし寿司をすぐさま平らげた。

「うんめぇーっ!」

「君、もうちょっと落ち着いて食べなよ。」

「ハハッ、だって雲雀が俺のために作ってくれたんだぜ?
嬉しいに決まってるしよ!何てったって味が違うからな!
美味い!」

「はいはい。」

そっけない返事を返しながらも雲雀はどこか嬉しそうで、作った甲斐があったななんて思うのだった。

「んで、ヒバリも復活したし、今日はどうするのな?」

「別に…僕は何でも…。」

「うっし!ならあそこに作り溜めしてある料理食っか!」

『?!?!』

「ホントはあれも俺に食べさせる予定だったんだろ?」

ニコニコしながら言う山本。

「ち、違うよ!
ちょっと作ってたら大量にできただけだよ。
別に君のためなんかじゃ…。」

「わかった、わかった!
んじゃ、食おうぜ!」

「ちょっと、君、人の話聞いてたの?」

「んーまーまー。」

「……はぁ。」

勝手に席を立ち料理を温め始める山本の背中を見ながら、もう満腹なお腹にどうやってあの料理を入れようか考える雲雀だった。














「なんか、今日は食べてばっかりだった気がする。」

「ヒバリ、小食すぎ。もっと食べねーと伸びねーぞ。」

「五月蠅い。
第一君のどこにあの量の食べ物が入るわけ?!
何、ギャル曽根でも目指してるのかい?」

「いやぁ、ヒバリが作ってくれたもんは何でも美味いからな!
気づいたら全部入っちまった。」

「呆れてものも言えないね。」

「それほどヒバリが好きなんだって!」

「…知ってるよ。」

「あぁ!!もうヒバリ可愛いなぁっ!!」

ヒバリの発言に山本は雲雀の頭に手を置きガシガシする。

「さ、触るな!」

「うへへ、ヒバリ〜。」

「いい加減にしろ!」

バゴッ

「アガッ!」

雲雀のトンファーをまともに食らいソファに倒れる山本。

「はぁ、そう言えば君、いい加減帰る時間じゃなかったっけ?」

時刻は既に7時。
外はまだそれなりに明るい。

「あー…そうなのなー…。」

突然、元気をなくす山本。

「な、ヒバリ。」

「何。」

「晩御飯、俺ん家に食いに来ねぇ?」

「君、まだ食べる気?」

「んーあー。ヒバリがいると食べれそうな気がする。」

「何それ。」

「そのまんま。」

「剛が握ってくれるの?」

「あぁ、一応。」

「…じゃあ行く。」

「(あれ、なんか軽く敗北感を覚えたのな。オヤジばっかりずりぃー)
よっしゃ!そうと決まれば早速行くのな!」







そのあと、山本の家でご飯を食べて山本に送ってもらって…家の中がちょっと寂しくなったななんて感じた。
そんな夏休みの8月入った2日目の僕だった。











<続>


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