なんだかんだで夏休み最後の週は忙しかった。
毎日学校へ行き、書類の処理の仕方を教えてもらって草壁と話したりして草壁が殴られそうになってそれを守ったりして、そのまま狩りに出ていく恭弥を追っかけてと休まる暇がなかった。
主に恭弥のご機嫌取りだが。
草壁とはあれから頻繁に連絡をとる様にしている。
どうやったら殴られずに済むか考える会なのだがいまだに良い解決策は出ていない。
もうやほーさんの知恵袋を借りるしかないか。

やはり家からの距離が短いが故にすぐに学校についてしまう。考え事もおちおち出来やしない…。

2学期が始まる今日は当たり前だが始業式。
いつも並盛中に来てはいたがこんなに人がいる中を登校するのは初めてなのでいささか緊張してしまう。
そう言えばよくよく考えてみれば俺転校生じゃん!友達百人できるかなー!

もう慣れたように靴を履き替えて職員室へ行くと先生に始業式は風紀委員側で出席だからと言われてよくわからずついて行った。
体育館へ入ってからもついていけば先生たちが固まって並ぶ所に恭弥が座っていた。
パイプ椅子なのにとても偉そうである。そして先生たちがこぞって挨拶をしに行き列に並ぶ。

「はよ、恭弥。」
「遅い。」
「わりいわりい。で、俺風紀委員側で参加って言われたんだけどあれどういうこと?」
「こっち。」

そう言って恭弥の後に続けば舞台に上がることに。

「恭弥これは?」
「風紀委員はここ。」
「おはようございます。」
「あ、草壁。」
「君はここ。」

そうして指定されたのは恭弥の右隣。並び的にいえば俺、恭弥、草壁の並びである。
舞台の反対側には校長と教頭がいてこの二人は立っていた。
真ん中にはよくあるあの喋る用の台ね、あれがあった。

つか風紀委員ホント何!並盛中の何なんだよ!!
しかもなんで恭弥が舞台に上がった瞬間静かになったの!
ちょっと待ってこれはどこの軍隊じゃ!
なに、恭弥って先生どころか全校生徒まで調教が完了してるってこと?!こえぇよホントに末恐ろしいなこの男は!!!!!
まぁでもいつもいる草壁の他に俺と言う顔も知らないヤツがいるからこそこそっと俺を見てるヤツは何人かいる。
なんで転校初日からこんな目立ってるんだ!もしこれで友達できなかったらどうしよう!
流石に普通に遊べるような友達は欲しい、これはマジで。だから目があった奴には手を振ってみることにした。
すぐに顔をそらされてしまった…しまった逆効果だったか!


そして式が始まる。校長先生の話って長いのが相場だよなぁ…。
何分かかるんかなぁ。早く体育館から出たい蒸し暑い。

それでは風紀委員長からのお話です。

…ん?校長先生の話やった?ん?一言でも喋った?うん?あ、風紀委員長からの校長先生?どちらにせよ長そうだな…

気付いた時には恭弥はいつものように背筋をまっすぐ伸ばして台の前まで歩いていた。
一同が息をのむのがわかった。そして一言。

「群れてる奴は噛み殺す」

空気がピリッと引き締まった。

では、これで始業式を終わります。

終わった?!?!?!え、校長の話は?!?!え、いや良いけど!これでいいの並盛中?!?!

「雲雀様今日も素晴らしい演説でございました。ささ、職務の方へお戻りください。この椅子は私共が片しておきます。」

「そう。」

校長先生がご機嫌取りに来た?!いやいや一言しか喋ってないよ!!!!
しかもえ、毎回こんな感じなの?!それでいいの校長!?

「はやく教室に戻りなよ。」
「おー。」

もうこの学校の制度には驚かない。ここではどうやらこの風紀委員長様が絶対なんだ。うん。それを再認識させられただけだった。
担任の先生を捕まえて早速教室に向かった。

ガラガラ
「転校生紹介するぞー座れー」

2−A これが俺の転校するクラス…。

「佐野ー入れー」
「はーい」

「あ、あいつ」「あれ風紀の…」「よく見てなかった」「かっこよくない?!」

「佐野自己紹介してくれ」

「あ、はい。佐野 涼ですよろし…」
「あぁ!!」
「ん、どうした沢田。」

定番のあいさつの途中で妨げられ顔をあげると一人だけ立っている。あの気弱そうな…爆発頭…
「?…あ!」

いつかのひぃい少年!!

「なんだお前たち知り合いか。丁度席も空いてるみたいだし佐野は沢田の隣に座ってくれ。」
「ういっす。」

ガタ
「え、と、この前はそのありがとう…。オレ沢田綱吉。よろしく。」
「よろしく。気軽に涼って呼んでくれ。」
「うん、よろしくね涼君。(あれ、この子…)」
「おいてめぇ気安く十代目とよろしくしてんじゃねぇぞ」
「?」
「よっす!転校生ー」
「うっす!?」

ツナの直感もこの二人の登場によって記憶の隅から消されることとなった。
遠くからは提出物を回収する声が聞こえてきて、後は全部集まるまで各自自由に過ごしている。
ガヤガヤと騒ぎ声はおおきくなる。
prev next
back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -