そんなこんなで今日から俺も並盛風紀委員になったわけで、委員長直々に学校までの道のりと学校内を案内してくれるらしい。
なんていうかね、委員長って並盛好き過ぎてバカじゃねぇのって思う訳ですよ。なんでかって?
あのね?!マンションのベランダからね!
見えてるんだよ!学校!つかこれ実は学校の寮?!ってくらい近い!
これで迷子になるんだったら俺もう家から出ないわ!
つかそんな距離に自分でマンション持っちゃうとか、しかもその最上階に暮らしちゃうとか並盛町じゃなくて並盛中バカだと思うんだよね。


みーどーりーたなーびくーなーみーもーりーのー

校歌?みたいな音だな…どこから聞こえるんだ……委員長…その手に持ってるもの…

「何?…そうわかった」

思うんだよね、じゃない並盛中バカだ!確信した!
携帯の着信音に校歌(もうこれは校歌確定だろ)にするくらいだから間違いないわ!
ビックリしたわ!こんなヤツに俺の過去が暴かれるとか考え過ぎた!


「早くして。」

立ち止まってまじまじ見てしまっていたせいで委員長から催促されてしまった。
こんな奴が…上司…?信じたくねぇ…


「はいはい。」

まずは校長先生に挨拶…したんだけどすっごい怯えてんのはなんで?俺笑顔怖かった?
割とモテるほうだし今のは人当たりの良い笑みだと思うけど。
これは職員室に行っても変わらなかった。
不思議に思いつつ校内案内してもらって(と言ってもほぼ見て回っただけで何の感慨もなくてついでに会話もほとんどないから一人でぶらぶらした方が良かった事は案内してくれた委員長に悪いので内緒)最後に応接室っていう風紀委員の活動部屋(主に委員長しか使わない部屋らしいが)に行ってようやく理解した。
この部屋は校長室だったんだろう。
さっき行った校長室より豪華であることがおかしい。
こんな立派な部屋があるなら普通はここが校長室でなければならないだろう。
校長はこの学校の顔だ。
しかしその顔がいるべき場所に彼がいると言うのはこの学校の顔は自分であることを主張していると言っても過言ではない。
校長より偉い風紀委員長ってなんだよ…。
赤と黒の家具を基調としたシックなこの部屋は革張りの高そうなソファや奥にある昔の書斎にありそうな年代物のテーブルとキャスター付き(しかもこちらも革張り)の椅子が置いてあってそれ以外は特には何もなかった。
なんか宿直室みたいな感じで泊まりも出来るように隣室があるみたいだ。

今のところ目につくのは来客用であろう大きなソファの前にある机と奥のデスクにある書類の高さくらいだろうか…。
ってか一日にあれを処理するってまじここの風紀委員何してるの怖い。

コンコン
「草壁です。」
「いいよ。」
ガチャ
「失礼します。」

「よ、昨日振り!」
「おはようございます。」
片手をあげて挨拶をするがそっけない態度でさっさと横を通り過ぎていく。
なんだか事務的って感じでやだなぁ。

「じゃあやっといて。」
「はい。」

そう言って草壁は大きなソファの高い背をした書類の前に座った。

「帰るよ。」
「え、草壁さん一人でやらすのか?!」
「いつもの事だよ。」
「いや、流石にそれは…。俺も手伝うよ!」

そう言って草壁さんの近くに行く。

「いや、これは俺が任されたことだ気にするな。」
「気にするなって方が無理だ!
俺だってやれることやるよ!もう並盛中の風紀委員だしな!」

「佐野…。」唐突に事務的な草壁の態度が一変した。

「く…これまでにこんな優しい部下がぁあ」
「く、草壁さん…?」
「うおおおおおお!俺は猛烈に感動しているぅううう!」
「ごほぉ」

く、苦しい。あとなんか臭い。加齢臭か?!
いやいやその前にタップタップ!首に入ってます草壁さん!!

「…ごぎゃ!!」

ゴン
トンファーが草壁さんの頭に刺さっていた。
ヤツしかいない。鬼の委員長しか…。

「群れないでくれる…?」

ギギギとからくり人形よろしくのぎこちなさで振り向いて目線だけを向けてみれば…
ふ、不機嫌だ!!!これはなんかやべぇ!!草壁さん起きて!!歩いてこっちきてるよ!!
あいつの背中に黒いオーラ出てるよ!
俺より怒りの矛先があなたに向かってます!!起きて草壁さん!!しっかりしろぉぉおお!!
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