お昼を恭弥と食べてグラウンドへ行くと何やらもうすでに戦いが起こりそうな緊張感があった。
しかし何故A組のみんなは浮かない顔しているんだろうか…。



「ツナ〜!」
「ちょ、涼君…。」

「どうした?なんかみんなの雰囲気がおかしいみたいだけど…」


「それが…」

お昼終わり間際に全チームの総大将が一斉に腹痛になって、病院に運ばれたらしい。
なんでもこの現象は去年と同じなんだとか。

え、なんでみんな絶望に暮れてんの…?

「去年のままだとこのまま。」

ぴんぽんぱんぽーん

「放送?」

「各チームの総代表が倒れると言う異例の事態ですが昨年と同じ措置をとらせていただきます。AチームVS連合軍チームとし、13:30より競技を開始いたします。連合軍チームは総代表を決め「その必要はないよ」ひ、ひひ、雲雀さん?!?!」

「連合軍チームの総代表は僕がやる。」


『えぇええええええええ?!?!?!』



「またこのパターンだぁああもうおしまいだああああ。」
「け、いけすかねー野郎だぜ。」「おおおおおおおお相手にとって不足なしいいいいいいいい!!!!」「涼、頑張ろうな〜。」


一部を除いてすっごい絶望ってのを顔に張り付けてた…。
確かに無理はないよね、これ恭弥を落とそうにも後が怖くて手が出せないしね。
兵士倒すにしても人数差が凄いしね。
あーマジかーこれ間違いなく俺が戦わなきゃいけないってことじゃん。


そうして俺たちの戦場は整った。


「おおー結構高いんだなぁ。」

棒倒しってのは角棒と直径2m程の円で作られたシンプルな物の上に総大将が乗り相手の総大将が地面に足をつければ勝ちというシンプル競技。
どんな手を使ってもいいってのが男らしいねぇ…。

っていうかこれ戦闘できるほどのスペースないな。足場の人には頑張ってもらわないと…。

開始!!ぼおおおおおおおおおおおん
うおおおおおおおおおお!


法螺貝の合図と共に戦闘は始まった。
…が、やはり人数的な差がね、俺たちになかなか攻め入るチャンスを与えてくれない。

「げ、地獄絵図か…!」

「ぐげ!」

防ぎきれずに登ってくる奴らを手当たり次第蹴り落とす。おわ安定悪ぃな。 
この手数、殺気(畏怖か?)なんにせよ棒が倒れるのも時間の問題…。
「なあ!悪いけど恭弥のとこまで行ってくれね?」「できたら苦労してねぇ!!」
「ぬおおおおおおおおお!極限に俺と沢田が道を作るぞおおおおおお」
「無理ですうううううううう」

去年やったからか、はたまた手勢に慣れてきたのか、段々恭弥との距離が埋まる。「待ってたよ、佐野涼。」
「いやまぁ来ざるを得なかったというか…。」
「ふぅん、まあいいよ。」
「おわ!」

ガキン!
恭弥のトンファーと俺の携帯金属棒が交わる。

うおおおおおおおおおおお!!
俺たちの戦いが始まったのを見た下の連中の闘志が燃え上がった。

「もうホント戦い大好きだなぁ恭弥は。」
「本気でやらないとうっかり咬み殺すよ。」
「んじゃま、鬼退治と行きますか!」
「君ホント失礼だね。」


ガキン ガキン。ジャキィィ


激しい金属音のぶつかり合う音。超近接型武器である恭弥のトンファーの方が殺傷能力ともにちょっとばかし分があった。俺棒術だし…。

「良いね。」
「全然良くないんだけど…!」
「ほらよそ見してると。」
「わ!」

「落ちるよ。」

ガキィィィィィィィイン

容赦ねぇええええ!コイツぐらついたとこ狙ってきたよ!本気だな!!
そう言えばだいぶ自分の足場が落ちつかないな…。
これは本格的に時間が迫ってきてる…。
しょうがねぇ、うまくいけば儲けもん。一か八か…勝負だ!低く、低く態勢を落とし前に突っ込む。
タックルが来ると思って構えている恭弥の足元に手をおいて、脚を 振り上げる!

カキーン

よっし!武器は弾いた。
このまま…

ズル

「!!」

大きく棒が傾く。離した手を置く場所がない...!
くそ、負けかぁ
っていうかこれ乱闘してる所に落ちたら俺ケガやばくね?って言ってもこの態勢じゃ頭守るので精一杯か…。アー結構高さあるなぁ。
落ちるまで結構あるほど高かったんだな…下からの音すげぇ。せめてバカにならないように頭だけでm……ポス

「ポス?」
「はは、助っ人とうじょーってな!」
「武!」
「危なかったのな!」

どうやら俺は武にお姫様抱っこという形で抱き留められたらしい。絵面的にどうなのか…はまぁ置いといてありがたい。

「よっしゃ!このまま敵陣突っ込むぜ」
「おお!」
武の背中に移動しようとしたのだが

「その必要はないよ。」
『?!』

恭弥は地面に立っていた。
棒倒しのルールは総代表が地面に着けば負け。ということは…

「審判」
「しゅ、しゅうりょー!」
ボオオオオオオオオオン

開始と同じ法螺貝の音で棒倒しは呆気にも終了した。
恭弥が自ら地面に降りたせいで勝ったという気持ちになれない。

恭弥が飄々とあくびをしながら教室へ帰る様を俺たちはただ呆然と見ていた。

「佐野涼 」
「お、おう…?」
「仕事、忘れてないよね。」
「あーはいはい。武さんきゅな。俺行くわ」
「おー頑張れなー。」

俺は武から降りて恭弥の後を追うのだった。

勝負つかず?
(涼君行っちゃった?)(ヒバリに連れられてなー)
(ぬおおおおせっかく優勝トロフィーを受け取る役目をアイツに譲るつもりだったのだがああああああああ!)
(うっせぇよ芝生頭!!!!!)(…)(山本?)

20170604修正
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