ぐぎゃ ごぎゃ ごぼお


心の声って意味ないよね。って宙を舞う草壁さんを見ながらひっそりと心で述べた。
委員長の手によって助けられた(というか引き剥がされたと言うのが多分正解)な俺はとりあえず深呼吸して詰まりそうだった喉を開放した。
ちょっとだけ噎せったら委員長の殴る音の重さが一段階上がった気がする。ごめん草壁さん。

というか顔が…ケツ顎が更に割れちゃったんじゃないかってくらい何発も受けてるんだけど流石にやりすぎだよな、止めよう。今助けるからね!
生きてるよね草壁さんんんん!

「委員長、そろそろその辺にしてあげてくれ。」
「…」

ぴくっとした委員長はこちらを振り返り向かってくる。なんだなんだ俺とやるのか!?

「佐野…」
「おお草壁さん!大丈夫か?!」

慌てて草壁さんに駆け寄る。うん、顎は裂けてない。まだ大丈夫だ!

「ありがとう。ちょっと正気を失っていたようだ。」
「いや、俺は大丈夫だから!それよりケガ…」
「こんなのは日常茶飯事だから安心してくれ。」

日常茶飯事…?!
なんてことだこんな書類をたくさんしてくれる草壁さんにこんなことまでやるのか委員長は…!

「これ。ケー番とメアド。なんかあったら呼んでくれ。
俺草壁さんの事守るから…!」


「佐野…!」

ガシィ!熱い握手が交わされる。

「……」

シュッ

「うわ…!」

誰にも当たりはしなかったが距離をとる草壁と佐野。
とんできたのはトンファー。またか。

「群れるな、と何度言えばわかるのかな」
「に、逃げろ草壁ぇええ!」
「だが、友を置いて行くなんて…」
「俺は大丈夫だ!一気に駆け抜けるぞ…!」
「おお!」

ダッ
ぼげ! がは! ごっ!
パタ

「草壁ぇええええええ!」

返事をしなくなってしまった屍(草壁)と委員長と俺の間には静寂が支配した。
なんとなくだがすぐに息を吹き返すような気がしてきた草壁を見ていると

「佐野。」

先に沈黙を破ったのは委員長だった。
なにやら怒られた時の子供のような表情の気がする。気がするだけだが。

「ん?」
「名前。」
「??」
「草壁は名前で呼んで僕は委員長なの」
「え、委員長って名前じゃないの」



















「え。」
「いや、だって鬼之風紀 委員長さんって名前じゃないかってくらいその単語しか聞いたことないからてっきりそれが名前だと思ってたんだけど。」
「……そんな名前がいると本気で思ってるの。」
「いや思ってないから驚いたんだけど。」

あ、今草壁動いた。もうそろそろ起き上がるんかな。

「…………雲雀 恭弥」
「ひばりきょうや?んー…じゃあ恭弥委員長だな!」
「委員長は要らない」
「なんで?」
「恭弥でいい。」
「?わかった。」

そう言うと恭弥は立ちあがって何処かに行ってしまった。


上司だって寂しい
(はぁはぁ)(草壁!無事か!)(あ、あぁ。)(でも急にどうしたんだろうな、恭弥は。)(嫉妬ですかね…)(そんなわけねーよ!)
…!」

20170604修正
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