キュキュ

コルクを捻ってお湯を止めると着替えて浴室を出た。サラシをつけるのも忘れずに。少々気が重いのはこの際仕方ない。昨日の自分の失態でもある。

リビングに向かうと既に廊下にも立ちこめるご飯とみそ汁のいい匂いがした。
オカズは多分焼き魚辺りだろう。
ぐーとお腹が鳴る。
そういえば昨日の昼から何も食べていなかったことを思い出した。



「いただきます。」
「今日こそは学校行くから。」
「うん。」

もぐもぐと口を動かす。
人に押し付ける癖にコイツ普通に美味しいご飯作るじゃねぇか。
お前がやればいいのに。
白いご飯にみそ汁、焼き鮭とはなんとも和。
純日本人の食卓だ…。あぁ美味しい。



「……抵抗しないんだ。」
「まぁ、」
「僕を倒して逃げることも出来そうな君がしないのは女であることがばれるのが嫌、という事だよね。」

ズズ
みそ汁を飲む手が止まる。

「…女の子に対してそんな意地悪で聡い対応は嫌われるよ。」
「生憎女に不自由してない、群れたくないから欲しいとも思わないけど。」
「なのに俺にはここまでするんだ?」「僕は君の力を利用する。並盛の秩序を守るために。」
「ふぅん、ビジネスの話なんだ?」
「そうだね。」
そう言って委員長は鮭の皮を箸でつまんで綺麗に身からはぎ取った。

「それでなにすればいいわけ。」
「やることは僕と同じ。書類整理と狩り。」

「狩り?」

あ、皮千切れた。

「この前君が倒した様な奴らを狩るんだよ。」
「別にあれは狩ってた訳じゃ。」
「僕の獲物を盗られたからね、あのときは最高にイライラしてたんだ。」
「あぁ、道理で…。」

あの殺気みたいな怒気ね。

「今度は君の本気が見てみたいってのもあるね。」
「何の事だ?」
「僕の一撃止めたくらいが君の実力だなんて思ってないからね。あの時のあの目最高に咬み殺したかったよ。」
「おーこわいこわい。俺そんなことしてないのに。」
「…とりあえず早くその作業に慣れてもらうよ。食べたら着替えて学校行くから。」

おどけてみせると不機嫌そうに俺を睨む委員長。
狩りの時の目だろうな、獲物は逃がさないってひしひし伝わってくる。
末恐ろしい男だ。だけど俺の過去に興味がないみたいだからひとまずは安心か?
興味があるのは自分より強いか弱いか。
いや、強かろうが弱かろうが多分関係ないのだろう。久しぶりに見つけた大型の獲物を倒したい、その一心が彼を動かしているんだ。
なら、甘んじてこの状況を受け入れよう。

「わかった。」

その後は黙々と箸を進めご飯を食べ進めるのであった。




共闘契約
(夜は和風ハンバーグ)(作れってか?!)

20170604修正
prev next
back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -