Hallelujah
「――え、謙信、それ本当…?」
「えぇけいじ、よくがんばりましたね」
今日エコーをして、やっと妊娠が確かなものだと確認することが出来た。小さかったけどトクントクンと脈打つ新しい命。俺の手を握っていた久秀さんの目は濡れていた。
そっと自分の下腹部に触れる。掌にじんわり体温が移って温かい。ここに久秀さんの赤ちゃんがいるんだ。
横に座る久秀さんを見るといつもとはまた違った穏やかな笑みを浮かべている。目頭が熱くなって一筋の涙が頬を伝った。
「久秀さん…っ、赤ちゃんだよ!」
「ああよくやったよ、慶次…感謝する」
結婚して九年目にしてやっと授かった愛しい人との子。まだ親指にも満たない大きさだって謙信は言ったけど、こんなにも俺の心は満たされてる。久秀さんと初めて結ばれた日も今みたいな気持ちになったっけ。でも今が一番、幸せだよ。
久秀さんの手を取って自分のお腹に当てた。此処にいるよって、分かるかな。久秀さんの手は冷たかったけど俺の体温と混ざり合って温かくなった。
「ふむ…ここに私と卿との赤子がいるのかね」
「そうだよ」
お腹を撫でる手はいつもより優しくて気持ちいい。ねぇ赤ちゃん、君のお父さんだよ。久秀さんにもたれ掛かったら空いていた手で肩を抱いてこめかみにキスをくれた。
「おめでとうございます。けいじ、きょうゆう。わたしもうれしくおもいます」
「ありがとう謙信!俺もすげぇ嬉しい!」
「ふふふ、だいじにするのですよ」
「大切にするよ、久秀さんと二人で」
ありがとう俺の赤ちゃん。久秀さんと俺の間に来てくれて。これからお父さんとお母さんで君を大切に大切に育てて行くから。
一年後の俺たちはどんな風に笑ってるのかな。今から三人での生活が楽しみで仕方ないよ。
元気に育って生まれておいで。