立花仙蔵
「まさかお前が姫だったとはな」

「意外だったか?」

「いや、さほどでもない」

「そんなものか。まあどちらにせよ…今までどおりではいられんな」

「そうだな」

「お前はどうするんだ」

「お前の傍にいるさ」

「家臣としてか?」

「そういうことになるな」

「嘆きつつ ひとり寝る夜の 明くる間は ものとかは知る」

「……藤原道綱母か」

「お前はこの襖を越える気は無いみたいだからな」

スッ

「…おい文次郎、何してる。閉めろ。お前らしくもない。」

「俺はお前しか見えてないけどな、藤原兼家と違って」

ドサッ

「止めろ」

「来てほしかったんじゃないのか?」

「来てほしかったさ。だが立場ぐらいわかるだろう」

「そうだな。少なくとも俺はここにはいられなくなるだろうな」

「…っ!文次郎っ」

「駆け落ちでもするか?」

「文次郎!」

「冗談だよ」

「…何…?」

「だから泣かなくていい」

「誰のせいだとっ」

「不安にもならなくていい。身分は違うが、俺にはお前しかいない。ずっとお前を守る」

「文次郎…」

「出来ねぇのは婚姻だけだ。あとはばれなきゃいいさ。仮にも…」

「忍びだからな、か?」

「分かってるじゃねぇか」

「約束だからな。絶対守れ」

「言われなくとも」
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