「え、なにグリムジョーの苺の置きかた。斬新じゃない?」
「は? 普通はどうやって置くんだよ」
「太いほうを下にするか、断面を下にしたほうが安定するじゃん。何で切っ先を逆さまにした」
「スポンジに刺す」
「刺すな!」
「じゃあ、ねじ込む」
「ねじ込むな!」
と、ようやく本日のメインイベント、皆でケーキの飾り付けをやっております。スポンジに満遍なくクリームを塗って5等分に切り、個人で好きなように果物を盛り付けていくという手法を取っているのだけど、三兄弟はお酒も入っているせいかふざけたケーキが出来上がりそうです。
「苺。苺が足りない」
「お、テスラ。私の分をわけてあげるよ」
苺の入ったボウルを渡そうとすると、突き返される。
「んん!?」
「ちあう! これじゃない! 苺! 苺を寄越せ!」
「だから苺! どうぞ!」
「ちあう!」
「うるせえ酔っ払い! これが苺だっつってんだろ!」
「グリムジョー、それはミカン」
「テスラ。ほら、食え苺」
「ノイトラ様ありがとうございまぶおええええ!」
「吐くなあああ! ちょ、ノイトラなに食べさせたの!?」
「唐辛子」
全然、進む気配がありません。
テスラの介抱しなきゃならんし、ノイトラはあくまで厚意で唐辛子をケーキに塗ろうとするし、グリムジョーはいかに果物を刺していけるか黒ひげ危機一髪みたいなことしてるし、私は進まんし。
「食べ物で遊ぶなと習わんかったんか三兄弟!」
「「「習ってない」」」
「んん! ソウダネ! ゴメンネ!」
現世で生活したことがあるのは私だけだったや。
もう、これは諦めて私が全部作ってしまおうか。
「出来た」
そこでひとり黙々と手を動かしていたザエルアポロがひょい、とケーキをお披露目してくる。
なんと美しいことか。果物のバランスがいいおかげで彩りも豊かだし、プロのパティシエが作ったみたいに完璧だった。
「私が食べる!」
「「「俺(僕)が食べる」」」
そうして私と三兄弟の熾烈な戦い(じゃんけん)により、
ノイトラがザエルアポロの
グリムジョーがテスラの
テスラが私の
ザエルアポロがグリムジョーの
私がノイトラの作ったケーキを食べることになりました。
「これ美味え。売ってるやつみてえ。すげえ」と、ノイトラ。
「何だこれ、何も乗ってねえじゃねえか。マジ無味」と、グリムジョー。
「普通だな。平凡。それより苺くれ」と、テスラ。
「毬栗みたいで美しくない。いや、雲丹?」と、ザエルアポロ。
「辛すぎるよおおお!」と私。
泣きました。
クリスマス2017
(何だかんだ来年もこの5人で過ごせますように!)
(3/3)
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