背中に縋って引き留められたなら | ナノ アナザー・企画



  幻燈師 03


幻燈師 act3

「ふざけんじゃないわよ!!!」


教室に女の泣き声にも近い悲鳴が響く。


「ちょっとフレイどうしたのよ」


友達であるミリアリアとカガリが驚きフレイに目を向ける。


「振られたの・・」
「・・フレイ」


一年生の進学試験が終わり二週間が過ぎた。
試験ということもあってしばらく会わないでいた。
そしたら相手に浮気をされた。
しかも今それを知った。
さきほど送られてきたメール。
フレイは携帯を開き二人の前に差し出した。


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フレイ、試験お疲れ様。
突然だけど分かれて欲しいんだ。
好きな人ができたんだ。
君は俺無しでも生きていける強い子だけど、
彼女には俺がいなくちゃいけないから。
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「何これ、最悪!」
「・・ひどい」


じっとメールの内容を読んでいた二人は憤慨した。


「・・・まぁ!これも仕方ないわよね!」


フレイは暗くなった雰囲気を変えようと明るく話した。自分で見せといてなんだけどやっぱり友達の悲しむ姿は見たく無い。


「なんたって私は強いんだから!」

「・・・フレイ」


心配そうにフレイに目を向けたところで、休み時間終了の鐘が鳴る。
二人はフレイのことを気にしながらも席に付いた。



・・*・・


「あれ?フレイは?」


授業が終わって昼ごはんの時間になったためミリアリアはお弁当を持ってフレイの席に近寄った。
けれど、そこにはフレイの姿は無かった。カガリはミリアリアの傍にやってきた。



「食堂じゃないのか?」
「・・だといいんだけど。フレイやっぱり気にしてると思うし」
「だよな。なにが仕方ないだよ。

一番悲しんでるのフレイの癖に」
「・・・まぁまぁ。カガリは今日もザラ君とお昼食べるの?」
「・・うん////」
「いってらっしゃい」


ミリアリアはカガリの背中を軽く押した。


「いってきます」


カガリは頬を赤く染めはにかんだ。
・・あらまぁかわいい。
どうしてザラ君はこんな可愛いカガリに落ちないのかしら。
最近のミリアリアの謎だった。


・・*・・


二人に心配されているフレイは中庭のベンチで座っていた。
二人に大丈夫だって言ったはいいけれどフレイは自分が思っているより落ち込んでいた。


「・・はぁ」


・・・なんなのよ、強いって、私だって普通の女の子なのに・・。


「ありえない」
「ああ。ありえないな」
「!!」


フレイは周りに誰もいなかったはずなのにした声に反応し顔を上げた。
男の人?
髪は自分よりも綺麗で真っ直ぐなプラチナ。
顔も凄い整ってる。


「ここは俺が昼食するときの指定席だ。

勝手に座るな!」


そう威張った口調で自分を男は見下ろしていた。
フレイは目の前の男の勝手な言い分に眉をしかめた。


「・・・・は?」
「ここをどけと言っている!!」


今時いるのねこんな俺様主義の人。
こいつ絶対男尊女卑だわ。


「・・いやよ。私が初めに座ったんだもの。

貴方に席を譲る義務はないわ!!」


・・いつもなら席をどくかもしれないけれど。
今日の私はイライラしてるの。
男の顔なんて見たくないわ!


「なら、その権利がある!」
「ないわよ!」
「ある!!」
「なら!・・・その理由をここで言ってみなさいよ」
「・・・俺は・・その場所じゃないと食事が喉を通らない」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」


さすがに言った本人も不自然だと思ったのだろうか沈黙が続いた。


「・・・・・・・プッ」
「?」
「アハハ・・・!!

今時いないってそんな意味不明な理由言う人!!」
「笑うなっ///!!」


目の前の男は目を丸くしながらもハッとし怒鳴った。
けれど、さっきのような凄みもなく、
顔が赤くなり怒鳴っている彼はまったく怖くなかった。
寧ろ、可愛い部類に入るような気さえする。


「ごめんなさい。嫌なことがあって気分が悪かったの。
私はフレイ。貴方は?」


ようやく笑い終わったフレイは、涙を拭った。


「・・・・イザーク・ジュールだ。
・・・俺も大人気なかった、すまない」
「・・よかったら一緒に食べない?」


それが私とイザークとの出会いだった。




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