背中に縋って引き留められたなら | ナノ アナザー・企画



  A Happy Endeing/運命後・シンルナ


A Happy Endeing

「へぇー、シンってば。
結構いいとこに住むのね」
「別にいいだろう」


大戦が終わり、停戦条約が交わされ。
私たち軍人はこれからの生きていく方法を手探りで考えなければいけなくなった。
もちろん今までどおり軍人として生きていくこともできる。
けれど、ルナマリアは悩んでいた。
自分の生きる道、そしてすべきことに。


「家賃、いくらよ」
「お前・・・、はぁ。
なんか、もうタダ同然」
「は?何いってんの!?ここめっちゃ見晴らしいいし、んな安いわけないでしょ!」
「・・・・アスハがお節介にも援助してくれてんの!」
「アスハって、もしかしてアスハ代表!?」
「ルナの言っているアスハ代表が誰を指してるのかしらないが。
俺の知ってるアスハ代表はウズミ・ナラ・アスハとカガリ・ユラ・アスハぐらいだよ。
ウズミ代表は死んでるし、俺の知り合いにはカガリしかいないしな」
「なんで、そんなことしてもらってんの!?」


ルナマリアの記憶が正しければ、アスハ代表とシンは仲が非常に悪かった。
それこそ本当に犬猿の仲とでも言うように。
それがなんで、家賃を援助してもらう関係に!?
しかもカガリって!!何!?なんで、そんな仲良さげなの!?
まさか、シンってば、私というものがありながらまさかアスハ代表のヒモに!?
信じらんないー!!


「何、考えてんだかしらねぇが。
・・ルナが考えてるようなことないから」
「じゃあ、どうして」
「この前カガリと話す機会があったんだよ。
キラさんとラクスさんが取り計らってくれて・・それで、」
「ヒモになる決意を!?」
「はぁ!!なんでんなことになるんだよ!!
普通に話して、これからのこととか、カガリがすべきこととか、俺のできることとか。
・・・・・・オーブに住みたいことを言ったらアイツがすげぇ、目輝かせてるから」


・・・・いつかだということを言いそびれて。
そのままズルズルと・・。


「何、それ!?
言いそびれたからって理由でオーブに住むことに決めたの!?」
シンから俺はオーブにいると聞かされたのはつい最近のことだ。
ルナマリアが迷っている一番の原因はこれだった。
もちろん両親、そしてメイリンがいるプラントに帰りたい。
けれど、恋人であるシンがオーブに残る。
なら、私は・・?
ルナマリアはずっと決めかねていた。


「確かにそれもあるけど、ゆっくりしたかったから。
一度落ち着いて自分の罪を受け入れる努力をしたい。
それはやっぱりオーブが一番いいと思うから。
それに、カガリがこれからすることを見てるって約束したから・・」


シンはそう言って窓を見やった。
その方角には確かアスハ邸・・。
何よ、なんか通じ合っちゃって。
嫌な感じ。
アスハ代表も代表よ。
あんな仲悪かったのにどうして援助してやろうという気持ちになるのかしら。
どんだけ金が余ってんのよ!


「とは言っても援助は俺が自立出来るまでだけどな」
「ふぅーん」
「あのさ、今さらなんだけど・・」
「ん?」
「ルナはやっぱり、プラントに戻るのか?」
「・・・・あ」


ずっと、迷っていたこと。
そういえば、シンが直接聞いてきたのは始めてかもしれない。
ルナマリアは無自覚に拳を握った。
何も言わないルナマリアの行動を肯定ととったのかシンは声を発した。


「そうだよな、プラントにはルナの家族がいるもんな・・。
その方がいいよな」
「・・・・・・んで?」


ルナマリアに背を向けて窓の外を眺めるシン。
その後姿はなぜかずっと遠くに見えた。
シンは寂しくないのだろうか?
私はこんなに悩んでるのに、シンにとって・・私は。
あの日のお互いの傷を舐めあう、慰めるためだけの関係?
私を守ると言ってくれた。
痛いくらいに強く抱きしめてくれた。
触れるようなキスを交わした。
それもシンにとってはただの同情?慰め?
私は心惹かれたのに。
同期のときには気づかなかった男らしさ、細く見えて私とは違う体格。
ボロボロになって泣いたときのシンの想像以上の脆さ。
私はこの人の隣にずっといて、支えてあげたいと笑顔をもっと見せて欲しいと思ったのに。
シンにとって私はもういらない・・?
邪魔?


「なんで、言ってくれないの!?
傍にいて欲しいっていいなさいよ!」


そしたら、私は迷わなくてすむ。
ずっと、シンの傍にいれるのに。
恋人としてじゃなくてもいい、ずっとシンと一緒にいたい・・。
いつのまにかルナマリアの瞳には涙が滲んでいた。


「好き、・・大好き・・・。
私、シンのこと大好き!どうしてくれんのよ」


涙がぼろぼろと溢れ出した。


ふわっ


体いっぱいに広がるシンの匂い。
体温。安心する腕の中。


「俺もルナのこと好きだ!
一緒に暮らそう?この部屋で!」
「ふぅぇ・・・ん」


ルナマリアは声を上げようとするが涙が次から次へと溢れ出し声にならない。
どうしよう、嬉しい。
ルナマリアはコクコクと何度も何度も頷いた。


「不安だったんだ。
俺とルナの始まり方は・・・傷の舐めあいみたいなものだったから。
恋人といっていいのかどうかもよくわからなくて、
一緒にいて欲しいとも言えなかった・・」
「・・うん・・」
「なんか、俺かっこわるいな。
しかもこの部屋だってカガリの金で借りてるようなもんだし。
情けねぇ・・」


こんなときに他の女の名前出さないでよとルナマリアは思った。
けれど、ふわりと微笑んだ。


「そうね、夫婦そろってヒモって中々ないわよね」
「夫婦!?」


つっこみどころそっち!?というシンのつっこみにルナマリアはふっとわらった。
ヒリヒリするほど泣き腫らした顔はずいぶんと酷いことになっていそうだ。
けれど、


「・・・やっぱり、ルナは笑顔の方が似合うよ」
「・・え?」
「お互い、最近笑ってなかったな」


レイの死。艦長の死。
自分達が背負う罪。
あまりにも残酷な現実にそういえば随分と笑っていなかった。


「・・そうね、・・けど、」


シンはルナマリアの頬に両手で触れた。


「笑って、my lady sweet lady。
俺の愛しい人」


ルナマリアはゆっくりと微笑んで。
近づいてくるシンの顔に目を伏せた。
ずっと、ずっと一緒にいよう。



・・*・・


楽しかった。たまには新鮮でいいですね。
ルナマリアの女子高校生風な感じが凄い楽しかった。
ルナマリアはカガリがユウナと結婚するまで憧れの人だったらしいですね。
絶対嘘だと思うのですが、最初からアスランに興味深深でしたしね。
まぁ早くシンが職を探して、いやオーブ軍でもいいのですが。
カガリの援助を受けなくてもいいようになって欲しいですね(笑)。
フェイスだったら貰うお金の額も上がるのでしょうか?
結構シンってお金持ちっぽいな。それでは。

BGM:A Happy Endeing/坂本真綾

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