背中に縋って引き留められたなら | ナノ アナザー・企画



  窓から覗いた空/朝チュン


「う・・・ん」


肌寒い気温に金の髪を持った少女―カガリは目を覚ました。


「朝か・・」


カガリは上体を動かして伸びをした。


「おはよ」


隣から声が耳に届く。
布団からちらりと覗く漆黒の髪がごそごそと動いている。。
どうやら、私が起きたことで目を覚ましたらしい。
上体を起こした隣の少年―シンは目を擦っている。


「・・・おはよ」


寝ぼけ眼でカガリは隣で眠っていた少年にそう告げた。
少年―本当にそう呼ぶのにふさわしい彼は私より2つも下の男の子だったはずなのに。
昨夜はちゃんとした男だった。
厚い胸板に、細いのに筋肉質な腕そして繊細な動きをする指。
激しい律動に疲れを知らない体。
というか少年だからこその行為とも言うが。


「体、平気?」
「うん」


けど、朝はやはり少年らしく優しく心配してくれる。
嬉しくてカガリはシンの胸に擦り寄った。


「甘えんぼだな」
「・・うん」


声は自然と甘くなる。
顔を少し上げると深紅の瞳と触れる。


「綺麗」
「綺麗?」
「うん。シンの目、凄く綺麗」


初めは凄く怖かった瞳。
けど、今はまるで惹きつけられるような。
それでいてあたたかくて、見守るような瞳。
そう、それは酷く神秘的な。
カガリは微笑んで、シンの目蓋にキスを送る。


「・・ーん」
「凄く好き」
「・・・////」
「へへ、照れてる」
「カガリ、朝最強だな・・」


呆れる様に、照れくささを隠したくてシンは笑った。


「嫌い?」
「好きに決まってるだろう。
どんなカガリでも、・・・・ー愛しているよ」


シンは少し頬を赤く染めた。
愛しているなんて言葉、恥ずかしい。
カガリにも初めて告げる言葉。


「ふふ、私もシンが好き。
・・・ー愛してる、愛しているよ」


カガリは照れなかった。
それがシンには少し悔しかった。
けど、とても嬉しい。


「うん///」


・・*・・


「さて、朝ごはんでも作るか。
何、お食べたい?」


シンはベットから立ち上がって、カガリに笑いかけた。
どうやら今日の朝ご飯はシンが作ってくれるらしい。


「目玉焼き。
黄身がふたつの」
「・・簡単だな。
けど、ふたつって、カロリー高けぇぞ」


遠まわしに太るぞといいたいらしい。


「いいんだよ。
シンはどんな私でも好きなんだろう?」
「・・・・・・、ほどほどにしてくれよ」


シンは苦笑してキッチンに姿を消した。


「・・・ふぁ」


眠い。
もう一度寝よう。
その頃にはおいしい朝ごはんが出来上がっているだろう。



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