あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  健気な少年と鈍感な少女@


健気な少年と鈍感な少女


@



「・・・っ」
「我慢しろよ」


頬の傷に消毒液の染みたガーゼが丁寧に乗せられる。


「ほらっ、消毒終わり!」


明るい髪の少女はにっこりと微笑んだ。


「・・ぁあ」
「てか、ひどい怪我だよな。
そんな大きい絆創膏あったかな」
「なぁ、カガリ・・」
「ん?」
「ありがとう」
「!どういたしまして」


俺とカガリは幼馴染。
家が近所だったことからよくお互いの家を行き来していた。
それは高校生になった今でも変わらなかった。


「けど、ほどほどにしとけよ。
女の子がかわいそうだ」


俺はむっとした。


「気持ちがないのにイエスと答える方が失礼だろう」
「・・・付き合ってみたら、好きになるかも知れないじゃないか」
「無理だよ」
「どうして?」
「・・はぁ」


俺はわざとらしくため息を吐いた。
君が好きだからに決まってる。
おかしな話だ。
どうして、告白を断ったからってグーで殴られ。
しかもその上好きな女にこんなことを言われるのだ。
俺って、健気だよな・・。
アスランは窓から覗く青空の望んだ。


「うーん、じゃあ無理かな」
「何が?」
「ミーアにアスランに手紙渡しといてって頼まれた」


そう言ってカガリはごそごそと自分の鞄を漁り始めた。


「(なぁ、カガリ俺。泣いていいか・・?)」


涙で潤んだ瞳をアスランは擦った。
そして差し出された手紙を丁重に断った。
どうやらこの恋、前途多難です。


まぁ今に始まったことじゃないけど。


「はぁ・・」


「けど、まぁ。
アスランってホントもてるよな」


俺の片思い続行中の幼馴染はしみじみと呟いた。
嫌味か。
俺はイライラした。
もてたって、君が好きな俺には何の特にもならないのに・・。


「・・・だったら、何?」


カガリは俺のそんな気持ちに気づくことなく、にこにこと笑っている。


「いや、もったいなになって思ってさ。
ミーアもメイリンもルナも皆かわいいのに。
振っちゃって」
「五月蝿いな。
カガリには関係ないだろう?」


俺は怒鳴ってカガリを睨みつけた。
カガリはそっとアスランの頬に触れた。


「・・・・あ///」
「綺麗だもんな。お前」


うっとりとしたようにカガリは呟いた。


「・・・・//」


俺は顔が真っ赤になるのを抑えられなかった。


「誰でも、惚れるよな〜」
「・・・・リは?」
「え?」
「だから、カガリは?
惚れてくれないの?」
「・・?
アハハハ!!」


カガリは一瞬ポカンとした後、
大きな声で笑った。


「私は幼馴染だろ?
惚れるわけないだろう」
「・・・・・・帰っ・・て・・・・くれ」
「え?」
「あっ、違うな。
出て行くのはカガリじゃなくて、俺だ」


もう、互いの家を行き来しすぎて、
どちらが自分の家なのか分かったもんじゃない。


「えっ、ちょっとアスラン??」


俺は足早にその場を立ち去った。


「ないじゃないか・・」


だったら、意味ない。
君がいくら俺の顔を綺麗と言っても、
他人が俺を好きだと言っても。
たったひとり振り向いて欲しい人に振り向いてもらえなければ意味がない。


「(ねぇ、カガリ・・。
どうしたら、君は俺を好きになってくれますか?)」


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