あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  caffe 05


「じゃあ、今日はありがとう」
「え?」
「一緒に帰れて楽しかった」
「・・私もです///」

そうこうしてるうちにアスランが降りる駅がやってきて。
アスランがにっこりと微笑む。
あっ、やっぱりかっこいいなドキドキする胸をカガリはそっと押さえる。

「くすっ、やっぱりかわいい」
「え?」
「こっちの話。
じゃあね」

オーブ駅について、アスランは電車を降りた。

「あっ」
「?」
「ごめん、1回降りて」

アスランが腕を伸ばしてカガリの腕を掴みぐいと引き寄せた。

「わっ、///」
「ごめん、今思い出して」
「何?//」

カガリが顔を上げると同時に電車の扉が閉じて、
発車のアナウンスが流れる。

「うん、アドレス交換したいと思ってさ」
「ア、アドレス!!??」
「えっ、うん。駄目?
だって結構話してるし、一緒に帰るの2回目だし」
「だっ、駄目じゃないけど・・」

アスランとアドレス交換とか嬉しすぎて死んじゃう!!
だって、ついこの前までただ見てるだけだったんだぞ。
なのにアドレス交換って!!
うわ、わわわわ。

「ナンパだって、言っただろう?」
「・・えっ?」
「赤外線使える?」
「あっ、ごめん使えない」
「じゃあ貸してもらっていい」

鞄からごそごそと携帯を取り出して、
携帯をアスランの方に向けて両手でアスランに差し出す。

「何、その出し方」

くすくすとまたアスランに笑われる。
からかわれてるんだろうなと思うけれど、
ころころと変る彼の表情から目が離せない。

「はい、登録完了。
また、メールするね」
「はい」

差し出された携帯を受け取って、カガリは頷く。

「次の電車が来るまで、まだ時間あるね。
ごめんね、引き止めちゃって」
「そっ、そんなことないです!!
寧ろいっぱい話せたし、アドレス交換できたし、凄く嬉しいです」
「・・・!そうなの?」
「はい」
「カガリ、今凄く恥ずかしいこと言ってるの分かってる?」
「え?」
「天然か・・。俺も嬉しかった。
電車来るまでお詫びに話しようか」
「はい!」

駅のホームのベンチに座ってふたりで喋る。
アスランが座って私も座るなんてこと初めてで緊張する。

「バイト、何でこっちなの?」
「え?」
「だって、カガリは家がオノゴロで、
学校もオーブだったらわざわざザフトまで出てこなくいいと思うんだけど」
「・・・む」
「む?」
「バイト厳禁なので、近場でバイトしてばれたくないんです」
「あー、そういえばそんなこと言ってたね」
「それに社会勉強に」
「社会勉強?」
「・・・私、箱入り娘なので、視野を広く持ちたいなと」
「へぇー、えらいな。俺は逆」
「逆?」

アスランは頷いた。

「そう。
俺は元々ザフトに住んでたんだけど、兄貴の結婚でオーブに越して来て、
だから高校はザフトのまま、住所はオーブっていうことに。
まぁ、対した距離でもないんだけど」
「お兄さんと一緒に住んでるんですか?」
「そう。
新婚夫婦と一緒に住んでるんだ。
凄い忍耐力だと自分でも思う。
・・・・本当は一人暮らししようと思っていたんだ」

アスランは当時のことを思い出すように続きを話してくれた。

「元々俺の両親、早くに亡くなってて兄と2人暮しだったんだ。
で兄貴が結婚して引っ越すっていうから部屋探してたんだけど、
兄貴が『何言ってんだ!?一緒に住むに決まってんだろう!』ってさ。
しかも義姉も説得済みでさ。
人が気を使って出て行こうとしてんのに、
兄貴も義姉も2人して一緒に住もうって言うんだ。
で、俺が折れた」
「なんか、いいですね。それ」
「・・・完全に邪魔者だと思うんだけど。
物好きだよな・・、ふたりとも」
「くすくす、アスラン何かかわいい」
「え?」
「おふたりのこと話してるとき凄い楽しそう」
「・・楽しそうか・・、ねぇ、カガリ」
「??」
「前に俺が言ったこと覚えてる?」
「?」
「好きな人がいるってやつ」
「・・・っぁ」
「あれ、義姉さんなんだ」
「え?」

アスランは長い睫毛を伏せた。
両手の指を絡ませ、話に集中しないようにアスランはじっと手を見つめていた。

「ふたりのこと好きだよ。
大好きな兄貴に、優しい義姉さん。
本当に今が凄く楽しくて幸せだと思う。
けど、何でかな、駄目だって分かってるのに。
義姉さんが好きで仕方がないんだ」
「・・・・・あっ」
「・・・・・、やっぱり一人暮らしするべきだったかな」
「駄目だ、逃げちゃ」
「え?」
「そんなの、一人暮らしして離れたって、
きっとアスランはそのお義姉さんがずっと好きなままだと思う。
だって、好きって気持ちは簡単に消えないから・・」

だって、私もそうだから。
さっき痛いほど感じたんだ。
私はアスランが好きだって、好きな人がいるって分かっても消えなかった。
アスランが好き。
だから私諦めたくない。
そう思ったときには体が勝手に動いて立ち上がっていた。

「私、アスランが好き!!」
「え!?」
「アスランに好きな人がいるって分かっても好きなんだ!
だからアスランも諦めちゃ駄目だ!
一緒に頑張ろ・・・・・って、アスラン?」

目線を下げるとカタカタと震えるアスラン。

「(・・あっ、もしかして怒ってる・・)」
「あはははははは!!!!」
「(笑ってる!!??)」
「もう、何それ!!!
何、それ告白?励まし?
カガリ俺のこと好きなのに俺の恋応援してどうすんの!?
ここは"私じゃお義姉さんの変わりにはなれない?"とか言って迫るとこだと思うんだけど。
ひー、あはは、ごめん、やっぱりカガリ、かわいい!!」
「あっ、アスラン?」

目に涙を溜めてアスランは笑っている。

「あー、ごめん。
なんか凄いツボった。
俺カガリと一緒にいたらずっと笑ってられる気がする」
「え?」
「くすくす。
まさか応援されるとは思わなかった。
だって、別に俺は付き合ってるわけでもないからカガリが俺を好きである分には何の問題もないけど俺の場合は結婚してる上に俺の兄貴の奥さんだしね。
なのに応援しちゃうんだ。
あははは」
「何か今、さらっとアスラン凄いこと言わなかったか・・」
「言ったよ、カガリが俺にね。
俺のこと好きなんだろう?」
「わっ、ああ〜〜っ///」
「今さら照れたって無駄だと思うけど。
くすくす。
俺もカガリのこと気に入ってるよ。
けど、カガリ方式だと好きっていう気持ち諦めちゃダメらしいから、
もう少し頑張ってみようかな?」

アスランはにっこりと微笑んだ。

「電車来たみたい」

アスランは立ち上がって、微笑んだ。

「じゃあ、帰るね」
「あっ、うん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・ケリつけるまで、待っててくれる?」
「え?」
「告白の返事」
「あっ、はい!!もちろんです」
「というか、あの告白は返事必要なタイプだったのか不思議だけどね」
「あっ、いや、あの・・・いい返事は欲しい・・・です」
「うん、じゃあ、いい返事待ってて。
じゃあね、カガリ」

そうしてアスランは駅の階段の駆け上っていった。


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