あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  アンサンブル*04


ひとりひとりが奏でる異なるメロディー。
多くのメロディーが重なるときそれは輝くアンサンブルになる。

アンサンブル

*4*

しばらくして、三階のアスランの部屋の扉が開いて銀髪の男の人が姿を現した。

「ふんっ!今日のところは帰ってやるが、しっかりと考えておけよ」
「はぁー、分かったって。
けどここのアパートの権利は譲るつもりはないよ」
「・・っ」

扉から同じように出て来てイザークと話をしているのはアスラン。

「あれがイザーク」

キラが隣でカガリに言う。
カガリは銀の髪の男の人をじっとみた。
アスランに負けず劣らずというかすっごい美形だった。
イザークはキラとカガリを横切る。

「・・貴様」
「?」

イザークはカガリに前で足を止めた。

「なんだか見た顔だな」
「え?」
「何、イザークナンパ?」
「なっ、違う!!!」
「へぇー、イザークのタイプって興味あったけど、
カガリみたいな子だったんだ。
ちょっとびっくりだよ。ね、アスラン」
「・・えっ、ああ」

ちょっ、なんでそこでアスランに話しを振る、キラ!

「違うといっているだろう。
おい、カガリと言ったか?」
「はっ、はい!?」
「こちらの勘違いのようだすまなかったな」
「あっ、はい・・」

イザークは会釈をしキラを睨んだ後アパートを後にした。

「なんていうかここの家系は美形ばっかりだよね。
アスランって妹もいるんだけどね、凄っくかわいいんだよ」

うっ、それは凄く見てみたい。

「キラお前、狙ってるんじゃないだろうな」
「まさかー、さすがに僕でも中学生は守備範囲外だよ」
「え?アスランの妹って中学生なのか?」
「うん、ステラっていうね」
「へぇ、私も中学生の弟がいるんだ」
「奇遇だな」
「うん」

小さな共通点を見つけてカガリは顔を綻ばせた。

「・・」

そしてキラはそんなふたりを静かに見つめていた。

「で、アスラン。
イザークは何って?」
「ああ、・・・・・」

アスランはカガリを見て少し言葉を濁した。

「?」
「アスラン、カガリだってここの立派な住人だよ。
知る権利はあるでしょう?」
「・・そう、だな・・。カガリ。
このアパートは去年まで俺の祖父が経営していたんだが、
その祖父が亡くなって、見ての通り今は俺が経営しているんだ。
そして今のはイザーク、俺の従兄なんだが、
彼もこのアパートの権利を欲しがっている」
「・・・けど、今はアスランが管理人って・・」
「ああ、もう書類手続きは全て完了しているよ。
イザークは海外暮らしが長くて、つい1ヶ月前に帰ってきてところなんだ。
祖父の死を知ったんだが、
学生の俺には管理は無理だろうからアパートの権利を譲れと言ってきて」
「なんだよ、それ。
勝手じゃないか!」
「はぁー、だよな。
もう済んだことを今さら言われても」
「うーん、僕はそうでもないと思うけどな。
確かに学生がアパートの管理人っていうのは無茶があるし、
ある意味もうすでに社会人であるイザークに頼んだ方がいい気も僕はするんだよなー。
それにイザークは君が大学卒業するまでって言ってくれてるんでしょう?」
「・・それはそうだが、どうせ後1年なんだ。
手間がかかるだけだろう」
「大学院行くんじゃないの?」
「行かないよ」
「ふーん、けど僕はイザークは君のことを心配してるだけだと思うな。
君がこのままずるずる就職しないでアパートの管理人といういい加減な職についたらどうしようってさ」
「キラ、いい加減な職ってなんだよ!」
「だからまだ若い君が就く仕事じゃないよねっていうこと」
「だから、俺は」
「はいはいって、そんなに怒鳴ったらカガリがびっくりしちゃうよ」
「あっ」
「じゃあ、僕は寝るから。
お休みー」

手を振ってキラは背中を向けて自分の部屋に戻っていった。

「・・・はぁー、アイツは・・。
カガリなんかごめんな」
「ううん」
「まぁ正直キラが言ってることも分かるんだけどな」
「え?」
「カガリは心配しなくていいから。
この問題は俺がちゃんと片付けるから、余計な心配しなくていいよ。
今日は買い物いって疲れたんだろう?」
「あっ、うん」

なんだろう今はっきりと管理人と住居人の線を引かれた気がした。

「ゆっくり休んで」
「・・うん、お休み」

アスランはにっこりと微笑んで、階段を上っていった。

カガリは胸に巣食う嫌な気持ちが分からないままアスランの背中を見送った。

・・*・・
久しぶりの更新です。
約1年振り。・・・すいません。
今後のメモ。
イザークとシホ。
キラとフレイとラクス。
シンとステラ。
ブラコン、シスコン喧嘩。
アスカガ。
とりあえず、ノルマとしてこのメンバーのお話は書きたいなと。
一番の壁はとりあえずイザークです。
イザーク難しいよ。


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