あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  アンサンブル*03


ひとりひとりが奏でる異なるメロディー。
多くのメロディーが重なるときそれは輝くアンサンブルになる。

アンサンブル

*3*

引越してから二日目、カガリは買い物に出かけることにした。
必要最低限の荷物しか持ってきていないカガリの部屋はガランとしていた。

「ノートとかも買ってこなきゃだな」

カガリの部屋に置かれたテーブルにはノートパソコンと筆記用具が入った筆箱が置かれている。
ノートパソコンはここのアパートの備品だし、クローゼットや棚などの収納スペースも元々用意されたものだった。
他にも冷蔵庫や電子レンジ、TVなどが備え付けられていた。

「ここにしてよかったな」

カガリは綺麗に片付いた部屋を見て頷いた。

「さーて、買い物だ!」

カガリは元気よく、外に飛び出した。

「今からお出かけ?」

ドアを開けたところで管理人のアスランさんがカガリに話しかけた。
アスランは白のエプロンをし、箒でまわりを掃いていた。
なんか、いいなとカガリは思った。

「あっ、おはようございます。
ちょっと、買い物に」
「そっか、いってらしゃい」
「はい、行ってきます。
・・・・・・あの?」

アスランにお辞儀をして、
出かけようとカガリはしたけれど一歩止まってアスランに話しかけた。

「はい?」
「ここの近所で、
服とか売ってる場所分かりますか?」

昨日の困ったことがあったら何でも言ってくださいにカガリは素直に甘えることにした。

「え・・?
ああ。
デパートなら少し行った先にあるけど。
うーん、もっとお洒落なとこならフレイの方が詳しいとは思うけど」
「あっ、デパートでいいです!」
「そう?
なら、ちょっと、待っててくれないか?」
「?」
「俺もちょっと買出し行きたくて、案内するよ。
すぐ準備するから待ってて?」
「うん!」

カガリはアスランの申し出に頷いた。

・・*・・

「大きいな・・」
「ハハ、・・大袈裟だな」

目の前に聳え立つデパートにカガリは関心した。

「そんなことない、私の地元田舎だからこんな大きなデパート見たことない」
「そうなんだ」

カガリはコクコクと頷いた。

「けど、ここは品揃えはいいけど物価は高いから。
食品を買うならさっき通ったたばこ屋を東に曲がったとこにあるスーパーの方が安いからおススメ」
「あっ、そこ昨日来る前に行きました」
「そう?」
「うん!」

ニコニコと微笑むカガリにアスランは顔を綻ばせた。

「そう、じゃあ。
買い物は一人の方がいいだろうから、俺こっち行くね。
帰りは別々でいいよな。
もし迷ったらメールか電話頂戴。じゃあね」

アスランはカガリが服を選ぶのならば自分がいるのは邪魔だろうと気を使い去ろうとした。

「待って!!」
「?」
「あの・・・電話とアドレス、聞いてない」
「・・え?
そうだっけ、ここ入居したときに配ってたと思ったんだけど」
「・・・え、あれがアスランの連絡先?」

そう言われて入居前に貰った書類に確かに、
連絡先が書かれていたのを思い出した。

「当たり前だろう、管理人なんだから。
11桁のは俺の携帯の番号で、10桁が俺の部屋の番号。
アドレスは携帯もパソコンも書いてあっただろう?」
「・・・そうなんだ、ごめんなさい///」

カガリは恥ずかしさに顔を真っ赤に染めた。

「いいよ。交換しよう?
どうせ入居先ぐらいでしか入れてないんだろう?
赤外線使える?」
「うん・・」

買ったばかりの携帯に『アスラン・ザラ』の文字。

「ありがとう」

カガリは嬉しくて、微笑んだ。

「そうだ、アスランは何を買いに来たんだ?」
「うん、俺?
俺は花の肥料」
「肥料?」

花と肥料とはガーデニングなどに使うあれだろうか?

「玄関の前に植えてあっただろう?
前の代から花壇が結構豪華でさ、俺もしなきゃってはじめたんだけど。
これが結構やったら楽しくてさ。
嵌ったんだよな〜」
「へぇー」
「夏は長期休暇があるし、野菜とか植えようと思ってるんだ。
去年はトマトとなすが植えてあったな。
カガリは、何かリクエストある?」
「うーん、じゃあ、にんじん?」
「にんじんか、了解。
頑張ってみるな」
「わっ、私も手伝うぞ・・手伝いたい」

楽しそうに話すアスランの言葉を聞いていたら、
とても楽しそうに思えてきてカガリは咄嗟にそんなことを言っていた。

「へ?」
「もちろん、迷惑じゃなかったらだけど・・」
「そんなことないよ。
凄く助かる。
けど、カガリは変わってるな、誰もそんなの手伝おうなんてしなかったのに。
じゃあ、お言葉に甘えて手伝ってもらおうかな」
「うん!」

そこでアスランとは分かれて、買い物に集中した。

・・*・・

ドンッ!!

アパートに帰ってきたカガリを迎えたのは大きな音だった。

「え!?」
「あっ、カガリお帰りー!」
「あれ、キラ?
何、この音」
「うーん、なんかアスランにお客さんなんだよな」
「お客さん?」
「うん、イザークって言って、アスランの従弟なんだけど、
仲悪いんだよね」
「そうなのか?」
「うん、イザークの一方的なライバル視なんだけど、
アスランも負けず嫌いだからねー」

キラはニコリと微笑んだ。

・・*・・

オチにキラを使ってる・・?
次はイザーク登場です。
イザークもアスランもお爺ちゃん子。

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