あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  アンサンブル*02


ひとりひとりが奏でる異なるメロディー。
多くのメロディーが重なるときそれは輝くアンサンブルになる。

アンサンブル

*2*

「そういえば、片付け終わった?」
「あっ、はい。
キラとフレイに手伝って貰って」

このアパートの管理人というアスランはカガリにそう問いかけた。

「そっか、手伝えなくてごめんな」
「いっ、いいえ!
そんなの全然かまわないです!」
「ぷっ!
そんなに畏まらなくていいよ。
・・朝みたいに元気な話し方で全然かまわないよ」
「あっ、は・・じゃなくて、うん!」

アスランはニコリと微笑んだ。

「そうだ。
星、見る?」
「いいのか?」
「いいよ。ほら」

アスランはニコリと笑って、望遠鏡の前をカガリに譲った。
カガリは嬉しそうに望遠鏡を覗いた。

「分かるかな?
今、映ってるのが双子座。
三月頃の午後八時ぐらいに見えるんだ」
「凄い」

キラキラと輝く星の中を一際目立つ星座。
カガリは思わず感嘆の息を吐き出す。

「双子座はカストルとボルックスで成り立っているんだ。
カストルが兄でボルックスが弟なんだけど、
結構分かりやすいと思うんだけど、どう?」

アスランは楽しそうに星の説明をした。

「・・・//」

その横顔にカガリは見惚れた。

「どうした?
俺の顔に何かついてるか?」
「うっ、ううん?
好きなんだな〜、って思って星のこと」
「好きだよ」

アスランはニコリと笑った。

「//」
「まぁ、結構首が痛くなるのが難点なんだけどな」
「・・だな」

カガリは首が多少痛むのに気づいて笑った。

「困ったことがあったら、遠慮なく言って。
まだまだ未熟な管理人だけど、これからよろしく」
「うん。よろしくなアスラン」

それがアスランとのセカンドコンタクトだった。

・・*・・

「こいつら、今日引っ越してきた子の部屋で何やってるんだよ!」

アスランはカガリの部屋で雑魚寝している、
キラとフレイを見てコメカミを動かした。

「べっ、別にいいよ。
対して気にしてないし」
「はぁ〜、カガリ?」

アスランはため息を大げさに吐いた後、諭すようにカガリの名を呼んだ。

「?」
「こういうのは最初が肝心なんだよ?
はじめからこうなら、ずっとこのままだぞ?
・・まぁ、カガリがいいならいいけど。
それでも今日は来たばっかりで疲れただろう?
ちゃんと休んどけ」

アスランの声には優しさが含まれていて、カガリは顔が綻ぶのを感じた。

「うん。ありがとう」
「で、どうする?
カガリが望むなら、起こすか。
移動させるかするけど」
「・・ぐっすり寝てるしいいよ。
起こすのも悪いから」
「カガリはお人よしだな」
「えっ?」
「まぁ、いいよ。
じゃあお休み」
「うん、お休み」

アスランは小さく手を振って管理人室の部屋がある三階へと上がっていった。

・・*・・

「へぇ〜、カガリアスランに会ったんだ」
「うん」

翌朝目を覚ましたキラの問いにカガリは頷いた。
フレイはバイトがあるからと起きてすぐ、身支度のために自分の部屋に戻っていた。
キラは今日は何処にも出かける予定がないらしく、
カガリが作った朝食を頬張っている。

「どう?
かっこよかったでしょう?」
「えっ・・?」
「アスラン、顔だけはいいからね」
「顔だけって・・」

そう、言いながらカガリは昨日会ったアスランを思い浮かべていた。
藍色の髪に、細く高い鼻筋、大きくて綺麗な翡翠の瞳に、薄い唇のライン。
すっとした顎のラインに・・、とても整った顔をしていた。

「って、何だよ、コレ!?
私変態じゃないか!!」

昨日会ったばかりの人を思い浮かべたカガリはぶんぶんと首を横に振った。
そんなカガリ様子をキラは眺めながら意味深に微笑んだ。

「へぇー。面白そう」

と。

・・*・・

あんまり間取り決めてないんですけど、
一階には洗濯機とか乾燥機の共同のものがあったりします。
お風呂は個別。
大きい洗面所が一階に有ります。
洗濯物は自分の部屋のベランダに干すか屋上に干すかです。
まぁ、屋上はアスランの星観察所になっております。
独壇場です。
寧ろアスランはそのために管理人をやっているところがあります。

アスランは三階。
キラ、フレイ、カガリは二階に住んでいます。
アスランのお爺ちゃんも星が好きだった設定です。
星に詳しくないので結構適当です。ご了承ください。

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