あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  ビターチョコ 07 キス


撮影は早いものでもう後半に差し掛かっていた。
撮影が終わりに近づくにつれ、クリスマスにも近づいていった。
アスランはあの人と一緒に過ごすのだろうか・・。
最近カガリはそう考えては落ち込んでいた。
カガリは大きく首を振った。
私には関係ないことじゃないか!!
そして大きくため息をつくのだった。


ビターチョコ

07.キス



「雄太・・・・私は雄太が好き・・」
「・・結城」
「私は・・雄太の力になる。
花音を忘れろなんて言わない。けど別れるなんて言わないで!!」
「カット、OK!!!!!」
「「ふぅ」」


キラとカガリは大きく息を吐いた。


「おつかれ。凄くよかったよ」


キラはカガリに笑いかけた。


「ホント、上達早いわね」


同じく監督はカガリを褒めた。


「ありがとうございます」


最初は嫌だったドラマも時間が経つに連れ結城の思いがあまりにも分かり、
自分の思いと重ねて演じるようになると凄く楽しくなってきた。


「次は二人のキスシーンね。楽しみにしてるわ」
「・・・うっ!」
「はは・・頑張りますよ」
「はい。ジュース」
「ありがとうございます」


今撮影しているシーンは花音が出てこないためフレイは撮影にはきていない。
昨日までは花音と雄太との回想シーンの撮影だったからいたのだが・・。


「緊張してる?」
「・・・当たり前です」

「そっか。・・・気分転換に外いってみたら?まだ時間あるみたいだし」


次の撮影からは雨が降り出すシーンなので
その準備のためスタッフがせわしなく動いている。


「そうですね。行ってみます」
「うん。屋上がお勧め」
「分かりました」


と言われ屋上まで来たのはいい。
なのに、どうしてアスランがいるんだ!!
アスランは扉の近くにいるカガリには気付いていないようで
フェンスにもたれかかり台本を読んでいた。
真剣なアスランの横顔に思わず見惚れてしまう。
ガシャン!


「え?」



ボーっとしていて気付かなかったカガリは風で倒れる箒に気付かなかった。
その音にびっくりしてアスランはこちらを振り向いた。


「・・カガリ?」
「あはは・・・ハハ」


カガリは乾いた笑みを零した。


「久しぶりだな。どうした?今撮影中じゃないのか?」
「・・・ちょっと休憩中」


カガリはアスランの横に腰を下ろした。


「なんだ、サボりか?」
「・・違います。
次のシーンに緊張して息抜きです」
「緊張?次のシーンなんなんだ?告白シーンか?」
「・・・・・・・キスシーン・・・」


カガリはぼそりと呟いた。
ストン
アスランの持っていた台本がするりとアスランの手からすり抜けた。


「アスラン?」


カガリは落ちた台本を拾い上げた。


「そっそっか・・・・キラとか?」


アスランはカガリの手から台本を受け取った。


「うん」
「そっそうだよな。カガリはキラの相手役なんだから。
それに恋愛ドラマなんだし」
「アスランは・・ないのか?」
「俺は・・振りだけだから」
「そっか。羨ましいな」
「・・・・・・なぁカガリ。
俺、ファーストキスカガリなんだ。知ってた?」
「・・覚えてるよ。忘れたことないもん」
「・・・・・・」
「・・・・アスラン?」


返事がないことにカガリは不思議に思ってアスランを見上げた。
するとそこにはアスランの顔があった。


「・・」



アスランの手がカガリの頬に添えられた。
これって・・・・
カガリは流れる動作で目を閉じた。


「・・・・んっ・・」


瞬間、カガリの唇に暖かいアスランの唇が触れた。
・・・・キス。
しばらくしてスランが離れていった。
ゆっくりとカガリは瞼を開けた。


「・・・カガリ」


アスランの顔はほんのり赤く染まっていた。


「・・・アスラン・・・私・・・」


・・好き。
カガリはその言葉を唇に乗せ様とした。
けれど・・・・・アスランには彼女がいるのに。
・・・・遊ばれた・・・。


「カガリ!?」


ポロポロとカガリの目からは涙が溢れた。
アスランは指でそれを拭おうとした。
パシン!!


「!?」
「触るな!!!」


カガリはそのまま立ち上がり屋上を後にした。


「カガリ・・・」



・・*・・



「遅かったね」
「・・・・・」
「次のシーン出来そう?」
「はい」


スタジオに戻るとキラが笑顔で迎えてくれた。
大丈夫、さっきみたいにやればいい。
ただ唇を合わせるだけなんだから。


「じゃあ、ヤマトさんヒビキさんお願いします」
「「はい」」
「・・・・キラさん」

「?」
「よろしくお願いします」
「・・うん」


「花音はずるいね。雄太に・・自分の残像を置いてって」
「結城・・花音は!!」
「ずるいよ!!花音は!!雄太もずるい!
私のこと好きだって言ってくれたじゃない!!」
「・・・・ゴメン」
「謝らないで!!私は雄太が好き!!
愛してる!!」
「ゆぅ・・・き」


カガリはうんと背伸びをしてキラの唇に自分の唇を押し付けた。
撮影は無事終わった。


「カガリちゃんお疲れ。いっぱい濡れちゃったね」


カガリはスタッフに貰ったタオルに顔を埋めながら泣いていた。


「・・・・・ぁ・・・らん」
「・・・・・」



キラはそっとその場から離れた。
遊ばれてても言えばよかった。
そしたら・・・・こんなに哀しい思いはしなかったかもしれない。



アスラン・・好きだよ・・・。


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