あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  ビターチョコ 04 ほろ酔い


外はもう日が沈んでいた。


「ささ、どうぞ」


キラは酒を勧めながらもガバガバと酒を浴びるように飲んでいた。
はぁー。
俺は溜息を吐いた。


「・・ヒビキさん、大丈夫?」


なんとかカガリの隣をキープした俺はにこやかにカガリに声を掛けた。


「え?」
「その、家とか」
「たぶん。
遅くなるっていって出てきたから・・」
「そっか・・」
「ザラさんこそ、大丈夫なんですか?」
「ああ、家は放任主義だから」
「・・そうですか」


ふたりの会話はやっぱりどこかぎこちなさを感じた。
やっぱり、きっとカガリは俺を覚えていない。
萎縮しているカガリを見てアスランはまた溜息を吐いた。


ビターチョコ
4.ほろ酔い




俺はカガリを横目でチラチラと見ていた。
当のカガリはキラに酒を勧められて困っている。
必死に断っているけど、キラは諦める気はないらしかった。


「じゃあ、いただきます」
「え?」


カガリはぐいっとビールを一口飲んだ。
飲んだ!?
ええぇ!?


「何、アスラン、カガリが酒飲んじゃだめなの?」
「駄目に決まっているだろう!」


キラはもうすでに酔っていて、目は据わっていた。


「フレイ〜」


酔ったキラは隣にいるフレイに抱きついた。
フレイと呼ばれた少女は顔を真っ赤にした。
自分がアイドルってことを自覚した方がいいんじゃないか?
キラ・・。
俺は心の中で突っ込みを入れた。


「きゅ〜」
「・・・大丈夫か」


俺は隣で顔を真っ赤にしているカガリに声を掛けた。
とはいえ、酒を飲んだからって一口飲んだだけなのできっと酔いなんてほとんどないだろうけど。


「あ、アスランが心配してくれてる。
優しい」


はい?


「カガリね。
アスランと会えて嬉しかった」


俺も凄く嬉しかったけど、
ちょい待て!!
なんかおかしいだろう?
酔ってる?嫌、確実酔ってるよな。
早いだろう、早すぎ。
・・ここは素直に喜んでおくべきなのか。


「・・カガリ、しっかり//」
「アスラン!
カガリのこと覚えてる?」
「・・え?」
「カガリね、アスランと会うのこれが初めてじゃないんだよ」


覚えててくれた。
凄く、嬉しい。


「・・知ってるよ。久しぶり」
「ホント!!」


カガリの表情はキラキラと輝いた。


「うわっ!」
「嬉しい!」


カガリは両手を俺の背中に巻きつけた。
ふにゃん
と体にぬくもりが伝わる。
まずい、まずい。
まずいだろうこれ!


「ちょっと、カガリ・・・・・」
「アスラン・・・」


最後に俺の名前を呼んで、カガリは可愛い寝息を立てた。


「え・・・///」


・・寝た・・?
俺はカガリの背中に回そうとした手でカガリの体を抱きかかえる。
・・完璧寝てる。
・・はぁ。
本日三回目の溜息だった。

けど、覚えていてくれて嬉しかった。
アスランは柔らかく微笑んだ。


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