あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  ビターチョコ 03 面白そうだし


「キラ?・・・今お前カガリって言ったよな」


穏やかだった空気が嫌に緊張感のある雰囲気に変わったのをキラは気付いた。


「うん。言ったけど?」
「その子ってさ、まさかカガリ・ヒビキ?」
「そうだけど。何、知り合い?」


その問いにアスランは答えなかった。

ただ「そうか」と言った。
その声にはどことなく嬉しそうなそれでいて寂しそうな色があった。


ビターチョコ

03.面白そうだし


「ねぇ、アスランコーヒ飲み終わった?」


その様子を見たキラはアスランに質問を投げかけた。


「ああ飲み終わったけど・・」


キラはそのアスランの返答を聞くとコートを羽織り出した。


「じゃあもう出るよ」
「えっ?」
「ほらいいから!!」


アスランの腕をグイッと引っ張ってキラは席から立った。
ぐいぐいとキラに引っ張られているアスランは戸惑っていた。
なぜキラがこんなことをするからか分からない・・キラがここに来てから時間も経っていないし。そしてそれは数歩先に誰がいるか知らないからだ。



・・*・・



「けど、驚きよね。アイドルもこんな普通のお店に入るのね」
「当たり前だろう。人間なんだから」


カガリは注文したオレンジジュースを口に含んだ。


「そりゃそうだけど・・」
「そうそう。アイドルだ・・・・・って・・・・・!!」


カガリは目の前に広がった光景に目を瞬かせた。
そして体が固まるのを感じた。


「ゴホッ・・」


そして、飲んでいたジュースが気管に入り込み咳き込んでしまった。
目の前にいるフレイに吹き出さなかっただけで凄いと思った。


「ちょっとどうしたの、カガリ」


フレイはカガリのその様子にキョトンとした。
そして動作はカガリの視線の方に向いた。


「・・・・・・・・・アスラン・ザラ?」


フレイが振り向いた先にはニコニコと微笑むキラ・ヤマトと
なぜかカガリと同じように目を見開き固まっている
人気絶頂中のアスラン・ザラの姿が有った。


「・・・本物?」


カガリは目の前の人物がいることが信じられず思わず本音が出てしまっていた。


「そう!!本物!!」


キラはアスランの背中を押しカガリに近づけさせた。


「わっ!」
「えっ!」


不意打ちに背中を押されたアスランはバランスを崩してカガリの方に倒れこんだ。
二人の顔が数センチ程度に近づいた。


「「・・//////」」


二人共顔を赤く染めその顔を隠すように顔を背け離れた。


「・・ごめんなさい!!!////」
「いや、こっちこそ!!!///」


嘘、嘘!!!
カガリの頭はこれ以上ないくらい混乱していた。
だって!!
今目の前にアスランがいて・・・・。
凄い、テレビでみるよりずっとかっこ良くなってる。
私のこと覚えてくれてるかな・・。
聞いてみようかな。


「「あの!」」


カガリが勇気を振り絞って放った声はアスランの声と被った。


「「・・・え?」」
「あの・・そっちから・・」
「いや、けど・・」


このままでは話も続きそうになかったので
キラは助け舟としてフレイとカガリに話を振った。


「ところで、二人共これから暇?」
「あっはい。別に特に予定は有りませんけど」
「私も」


キラは二人の返答に嬉しそうに笑った。


「じゃあ。これから一緒に四人でご飯に行こうよ」
「えっ?」


キラ以外の三人がキラの発言に目をまん丸にした。


「僕、すごく美味しくて穴場知ってるんだ」


キラはフレイにウインクを投げた。


「いっ、行きたい!!」
「フレイ?」


カガリは驚いてフレイを見た。


「アスランは?」
「・・・・・・俺か?・・俺は」


アスランはチラッと隣のカガリを見た。


「行く」
「じゃあカガリちゃんは?」
「・・私は・・・」


言い淀んだカガリだったが結局フレイの熱い説得もあり、小さく頷いたのだ。



「ここなんだ」


キラ達は喫茶店を出て歩いて数分のところにあったお店の前で足を止めた。


「・・・・・キラ。お前ここどうみても」
「うん。僕の家」


アスランはキラの発言に眉を寄せた。


「僕の家、居酒屋なんだ。だからお酒のみほうだいだよ」


キラはアスランの様子を無視して。
カガリとフレイに説明をした。


「お前!俺たち未成年だぞ!!」
「まぁまぁ堅いこと言わないで、さぁ入るよ」


そう言ってキラは三人を連れ居酒屋に入っていった。


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