繋がりは消えない・後編
繋がりは消えない・後編
え?
なんだかアスランの顔が少し赤くなっている気がする。
・・・だめだ。
こっちにも移って来た。
つられて私の顔まで赤くなっていく。
・・・嘘・・。
「ほんとだよ」
まるで、私の心を読んだみたいにアスランが言う。
やっぱりアスランの顔が赤くなっている。
可愛い。
はじめてみた、アスランのこんな顔。
私は信じられなくて場違いなことを考える。
アスランが私を好きだったとか例え過去形でもありえない。
というか、さっき私はアスランに振られたんだから、なのにそんなこと言われると自惚れてしまう。
「片思い歴、丸9年かな」
「・・.そんなに?」
「・・まぁ、実は言うと12年」
「はぁ?」
どうして、今の会話で増えるんだ?
普通減るんじゃないのか?
頭はなぜか冷静だった。
「小学校のときから俺、カガリのこと好きだったんだよ。中学も実は今も」
意味がわからない、さっき私のこと振ったのはどこのどいつだよ。
「中学を卒業したときに諦めようって思って、
ラクスと付き合いはじめて、忘れられたと思ってたのに、今、告白されて凄く嬉しかった」
ラクスは高校に入って出来た、アスランの恋人だ。凄く可愛くて、けど芯が真っ直ぐ通っている。
アスランとラクスは凄いお似合いだと悔しいけど私から見てもそう思ってる。
「なんだろな〜、俺カガリのことほんとに好きなんだろな」
ボンッ。
本日三回目の問題発言だ。
「お、お前なぁ〜」
くすくす。
アスランが笑ってる。
今度は故意らしい。
・・・。
すると、アスランの顔が真剣になった。
つられて私の顔も強張る。
「けど、俺は二股とかしたくないし、そんなに器用じゃないし。
カガリのこと好きなのは変わらないけど、今は俺ラクスが好きだから、
・・・確かにグラってきたけどカガリの気持ちには答えられない、ごめんな」
そう言ってアスランはポンって私の頭に手を乗せた。
・・・やばい。どうしよう。
めちゃくちゃ泣きそうだ。
「アスラン」
「ん?」
アスランはぐって顔を近づけて私を覗き込んだ。
「これから・・も友達で・・幼馴染でいてくれるか?」
泣きそうなのをぐっと堪えて、言った。
「ああ」
「良かった」
「・・・」
「アスラン、帰るな、バイバイ」
「えっ?ああ」
アスランの顔を見たら泣いてしまいそうだから見たくなくて、
逆に泣きそうな私の顔を見せたくなかったから、
俯いたまま私は、そのまま教室を飛び出した。
ローファーに履き替えて、自転車に飛び乗って、
帰り道の坂を下っていく。
夏の終わり、私の恋は静かに終わった。
とてもキレイな快晴が胸を締め付けた。
涙が溢れた。
アスランが大好きだった。
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