繋がりは消えない・前編
繋がりは消えない・前編
「アスラン、好き」
夏。
蝉がうるさく鳴いている。
8月の終わり。
高校三年生の私達は、学校に進学補修に来ていた。
アスランと私はいわゆる幼馴染、そして私は今彼が好きだ。
卒業して、隣町の大学を受験する私と大都市の有名大学を受検するアスランとではきっとこれから一緒にはいられない。
そう思ったら何となく好きなんだととても強く思った。
だから、気持ちを言の葉にのせてみた。
ずっと一緒にいた。
本当にずっと、ずっと、小学校から高校まで、双子のキラと3人でよく遊び回っていた。
中学に行くと少しだけ話す時間が少なくなった。
アスランがもて始めたからだ。
よく裏庭に呼び出されていた、私はそれを見るのがすごく嫌だった。
だから、アスランを避けてた。
そのときに気付けばよかったのに、そのときは自分の気持ちに気付けなかった。
「えっ?」
目の前のアスランはすごくびっくりしてる。
そういうところは昔からかわっていない。
頭いいくせに要領が悪くて少し抜けてるところが。
けど、そういうアスランが私は好きだ。
「私アスランのことが好きだ」
もう一度言ってみた。
答えは何となくわかっている。
きっと「NO」だと思う。
けどアスランは優しいから、有難うって言うと思う。
「・・有難う」
ほら。
「けど、カガリの気持ちには答えられない」
うん。それも分かってた。
「そう。・・聞いてくれて有難う。
アスランに知っといて欲しかったから、それだけだから」
「・・そっか」
クーラの風じゃない自然の風が私の髪を撫でる。
気持ちいい、それにすごくもやもやしたものがなくなった気がする。
「夏休みももうすぐで終わるな、今年私勉強しかしてないぞ」
「俺もだ」
「嘘だ。ラクスがいるだろう?」
「いるよ。けど青春って感じじゃないよ」
「そっか」
「カガリは変わったな」
「は?」
唐突に話題が変わってしまうからびっくりして、変な声を出してしまった。
「ほら、小学校のときなんかよくキラと一緒に泣きついてきてただろう?
宿題終わらないどうにかしてくれアスラン〜ってさ」
私も覚えてる、いつもそう、夏休みの終わり頃はいつもアスランのところに言って助けてって、ほんとあの頃の私達は困った時はいつもアスランが頼りだった。
すごく懐かしい。
「そうそう。8月31日に決まってな。
それでどうしてもっと早くしなかったんだってアスラン怒りながらも手伝ってくれたんだよな」
アスランはなんだかんだ言って毎年手伝ってくれた。
「あれ結構、嬉しかったんだよな〜」
「えっ?・・何が?」
なにが嬉しかったんだろうか?
今の会話でアスランが嬉しかったことって?
むしろ迷惑なんじゃ?
「お前らに頼られるのって、俺にとってはさすごく嬉しかったんだよ。
ほんとお前ら可愛いし」
ボンッ
一気に私の顔が真っ赤になった。
反則だ、いくらキラも含まれているとはいえ、好きな人に可愛いとか言われて照れないわけがないだろう。
今更だけどこいつめちゃくちゃ天然たらしだ、ずるい。
「カガリ顔、真っ赤熱いのか?」
真顔で聞いてくるし。なんか私だけ反応して馬鹿みたいだ。
「・・・なんでもない」
「そうか?」
「それで?話の続きは?」
催促した。
じっと見てくるアスランの目に耐えられなかったから。
「あぁ、泣き付いてきたときのお前らの顔とかさ、
いいよっていった後の安心したカガリとキラの顔ほんと可愛いんだよな〜」
でれでれしてるアスランの顔、ちょっと気持ち悪い。
「・・・変態、私達は必死だったんだぞ」
「そうだな悪い」
謝ってるくせに笑ってる。
「・・・」
「いつからかな、カガリが俺を頼らなくなったの」
「えっ?」
「避けてただろう?俺のこと、カガリは分かりやすいんだよ。態度があからさますぎ。嫌われたって思ってた」
「・・・ごめん」
「俺カガリのこと好きだったのにさ」
え・・・??
風がまた二人の間に透りぬけた。
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