あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  藤の花 05



幸か不幸か私は偶然見てしまったのだ。

「あっ・・・・・・・」

その日は講義が早く終わって、家に帰る途中だった。
ピンクの長い髪をたなびかせた少女が目の前を横切った。

「ミーア?」

ミーアは私に気づくことなく、そのまま行ってしまった。
私はそのまま何気なく立ち止まってミーアの背中をそのまま見送った。

「ハイネ」
「ミーア、遅ぇーぞ!」
「ごめん、ごめん。けど急いできたんだよっ!」
「なら、しょうがねぇな、許す!」

そのまま二人は腕を絡ませて歩いていった。

「・・・・・・・・・えっ?」

私は今何を見た・・・・?
だって、ミーアはアスランの彼女で、
学校でも私が割り込む場所がないくらいラブラブで、
兄弟?・・・いや、私だって兄のキラと腕を絡ませて歩くなんてしない。
従兄?って従兄って結婚できるな。
つまりは・・・浮気・・・ってことなのだろうか。
どうしよう、まさかの好きな人の彼女の浮気現場に遭遇するだなんて。
・・・アスランは知ってるのかな。
いや、知っているはずがない。
知っていたらあんな風にミーアの誕生日のことや、
プレゼントのためにアルバイトなんてしないだろう。
アスランがかわいそうだ。
なんで、ミーア!?
アスランの何が駄目なんだよ!?
今走ってミーアを問い詰めたかった。
・・・・けど、・・・・・カガリは気づいてしまった。
ミーアの浮気を喜んでいる自分を。
ばらしてしまえばいい。
そうすれば、もしかしたらアスランがいつか私を見てくれるかもしれない。

チャンスだ。

そう自分の声が頭の中でリフレインした。

・・*・・

「カーガリー?」
「んー」
「んーじゃないよ、どうしたの?
何かあった?」
「・・・キラ・・・」

ひとつ上のキラは学部は違うが同じ大学に通っている。
出来るだけご飯は一緒に食べようという両親の元、朝や夜は一緒に食べる。
そしてご飯の後は自分の部屋に戻らずにリビングでダラダラとしている。

「キラってさ、もしラクスが浮気してたらどうする?」
「えっ、何それ? 
そんなの、ラクスが浮気するわけないと思うけど」
「やっぱりそう思うよな。はぁー」
「カガリ??えっ、何?もしかして浮気してるの?」
「・・・・・・・・してない。というかそもそも彼氏もいないのに、
何で浮気なんだよ」

ソファに寝転がっていたカガリは起き上がって

「・・・いやー。カガリ結構もてるから突然モテ期来るかもしれないよ?
一度に二人の男の子に告白されたりとか」
「あるわけないだろうー」
「じゃあ、何でそんなこと聞いてくるの?
ラクスが誰かと歩いてるとこでも見たの?」
「いや、ラクスじゃなくてミーアが知らない男の人と歩いてた」
「ミーア?ってあのカガリと同じサークルの?」
「うん」
「えっと、アスランだっけ?あの髪が藍色の子と付き合ってなかったけ?」
「付き合ってる」
「あー、なるほど浮気現場遭遇か。
まぁ、こればっかりは部外者があんまり口出すことじゃないからね」
「・・・・・部外者か」
「部外者でしょ?変に首突っ込むと痛い目に会うから、
あんまり首突っ込まないでね」
「・・・うん」

カガリはコクリと小さく頷いた。


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