あなたを想うだけで傷だらけです | ナノ パロディノベル



  藤の花 04


「おーい、来ましたよ。
アスラン先輩」
「シン、それにカガリ!?」

あはっとカガリは笑って手を顔の傍まで上げた。

「ご注文は?」
「俺オリジナルブレンドコーヒー、カガリ先輩は?」
「えっと、・・」

メニューを見ながらあれこれ悩んでいるカガリをシンは見てため息を吐いた。

「・・・・後でもう一回注文聞きに来てもらえますか?」
「かしこまりました」
「てか、びっくりしたな。
アスラン先輩マジでバイトしてんだ。
しかも喫茶店。しかもなんかウチの学生多くないか?」

去り行くアスラン眺めながらシンが言う。
そう。
数日前の私のアドバイスを遵守したアスランは喫茶店でバイトをはじめた。
しかもそれが話題になって同じ大学の生徒が喫茶店に通い始めているから、大賑わいらしい。
そういう私も少し気になっていたときに目の前の後輩に誘われて今に至る。

「・・はは」
「ギャルソン姿のアスラン先輩ーかっこいいwwとか思ってるんでしょうか、ね?」

最後の『ね』は自分に向けて言われたような気がしてカガリは途端に居心地が悪くなった。
そうだ、シンには私の気持ちばれてるんだった。

「シンは意地悪だ」
「そうですか?一緒に付き合ってる分優しいと思いますけど?」
「なっ、付き合ってって言い出したのはお前だろう」
「仲がいいんだな?」
「「アスラン」先輩」
「お待たせしましたご注文のオリジナルブレンドコーヒーです。
そちらの方は注文お決まりになられましたか?」
「あっ、えっと・・じゃあ・・//」

じーと見つめるシンとにこにこと微笑むアスランに挟まれて、カガリは大慌てでメニューを見る。

「Aセットで」
「はい、かしこまりました」

アスランは頷いて、また去っていった。

「お前、・・・この時間帯にAセットって・・」

呆れたシンの視線に「え・・?」っと思いメニューを眺めると。
オムライスにハンバーグにスパゲッティーというなんともまぁ豪華なセットがしかもデザートにワッフルまでついてくる。

「あ・・・」
「・・・・ここ結構ボリューム多いって評判ですよ?」

今の時刻は4時半過ぎ、次の講義は5時半から。
この喫茶店は大学から少し離れたところにあって電車にひとつ乗らなくてはいけない。

「まぁ、恨むならメニューをよく見なかった自分を恨むか、
若干大学から遠い店でバイトを始めたアスラン先輩を恨むかしてください。
ゆっくり食べてたら次の講義間に合いませんよ?」
「・・やっぱり意地悪だ」
「はは」

そういったときのシンは悔しいぐらいまぶしくてむかついた。
そして運ばれてきたメニュー。
シンと言っていた通りたっぷりと大きなお皿に盛られたオムライスにハンバークにスパゲッティー。

「・・・なぁ、シン?」
「なんですか?」
「半分食べないか?」
「・・・・・いいんですか?」
「何が?」
「スプーンとフォーク一対しかないですけど」
「・・・えっ、別にいいけど・・」

はぁーとシンはため息を吐いた。
シンはフォークを手にとって「じゃあ、スパゲッティーもらいますね」といってくるくると麺を絡めていった。

「・・・あっ・・」

カガリはシンの口に運ばれていくフォークの先を見ながら今頃カガリはシンの言っていることが理解できた。

「気づいた?」
「えっ・・・////」

何が!ぶんぶんとカガリは首を横に振った。
カガリは一本ずつあるならどっちかを使って食べればいいと思っていたが果たしてどうしてスパゲッティーをスプーンでたべるのは至難の業だし、オムライスをフォークを食べるのも難しいだろう。
ということは・・必然的に一緒のスプーンとフォークを使うわけで・・。
それってつまり・・・。

「・・・・嫌なら、スプーンとフォークを店の人に持ってきてもらえばいいだろう?
何パニックってんだか」
「あっ・・・うん、そうだな///」
「すみません。
スプーンとフォーク貰えます?」

シンは手を上げて店員さんを呼んでスプーンとフォークを頼んでくれた。

「なんか、シンっていいやつだな」
「は?」
「一緒にでかけるにしてもサークルでがほとんどだったから気づかなかったけど、
シンってかっこいいな」

意地悪なことを言いつつも、気を使って自分から頼んでくれる。

「・・・・・・・・・・っ〜〜!!////」
「シン!?」
「ほら、早く食べますよ!」
「あっ、うん!」

カガリは頷いてハンバーグをぱくりと一口食べた。

・・*・・
どうしよう、シンが普通に私のタイプになっている(笑)。
修羅場書くのが今から楽しみだったり。
最後はアスカガなのでご安心ください。





prev next

[back]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -