九代目を送った後やっぱりというか、事情を知るγと医療班以外には聞かれた。とりあえずは現在のうちで預かっている綱吉君という子がいて、その保護者と考えればいいとだけ言っておいたけど、私的には間違っていないと思う。

「入るわよ」

夕食時、食べるかはわからないけれど夕食を持って私は彼の部屋に入った。外に出ていない時はそれが私の日課。

「食べれるなら食べてね」

テーブルにそう言って置いた。無理だろうことは知ってるけども言わずにいられない。ちらりと彼を見れば変わらずに前だけを見ている。今日も会話もできそうにないとため息を零して部屋を出た。

「ここがその坊主の部屋か」
「太猿…!」

ぱたりと扉を閉めて俯いていれば、どうやら偶然通りかかった太猿に声をかけられた。頷けばそうかと一言漏らして目を向けただけで開けようなどとはしなかった。

「どんなガキで?」
「昔は優しい、大空のような笑顔ができる子だったそうよ」
「昔?今は?」
「………表情はないわ。会話もできない。心が壊れてしまってる」
「それはまた…難儀なこった」
「本当に」

心が壊れて自分を殻に閉じ込めている。そんな状況の彼をあまり人に逢わせたくはない。私のエゴかもしれないけれど。

「あんまり気に病まないでくれよ。ボスが滅入るとこっちまで気が滅入るからな」
「大丈夫よ。私は元気だもの!」

それに私まで落ち込めば綱吉君にも更に悪影響を与えかねない。そんな時こそ笑ってないと。だから精一杯の笑顔を太猿に向けた。












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γはアリアさんにとって
やっぱり特別な人。

 



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テーマ「人外ファンタジー」
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